リハビリ関連職種の供給について、供給編①で需給分科会の資料を推計パラメータに基づいてまとめていきました。
↓ こちらからご覧ください。
供給編①の資料は、2019年4月5日に開催された第3回需給分科会の資料で最新です。今回の供給編②は、2016年4月22日に開催された第1回需給分科会の資料と2016年8月5日に開催された第2回需給分科会の資料です。過去にどのような分析がされたかにも着目してみようかと思います。
養成施設の推移
学科別入学定員数の推移
理学療法士学校養成施設の入学定員の年次推移です。
平成11年以降は急激に増加。
平成21年以降は横ばい。
上図の赤枠と青枠部分です。
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次に示すのは作業療法士学校養成施設の入学定員数と養成施設数の推移です。
作業療法士も理学療法士と同様です。
2009年(平成21年)以降は横ばい。
上図の青枠部分です。
学科別養成施設数の推移
理学療法士学校養成施設を専門学校・4年制大学・短期大学に分けた図が以下になります。
2009年(平成21年)以降に入学定員数が横ばいになった背景には、専門学校の養成数が減り4年制大学が増えた事実があります。作業療法士学校養成施設はどうでしょうか。
やはり2009年(平成21年)以降は専門学校が減り4年制大学が増えています。
国家試験合格率の推移
入学時点では平成21年以降の数は横ばいになっていることが分かりました。
卒業時点を表す国家試験合格率を見ていきます。
理学療法士の国家試験合格率は、2012年(平成24年)に大きな低下が見られました。2009年(平成21年)、2010年(平成22年)には入学者が横ばい・もしくは低下していました。その方々が受験した国家試験が、まさに2012年(平成24年)国家試験の合格率が大きく低下した年でした。その後も波はあるものの合格率は低下傾向と言えるかと思われます。作業療法士の国家試験合格率の推移を見ていきます。
作業療法士は2006年~2009年は、右肩下がりの合格率となっています。その後も波はあるものの低下傾向となっています。また理学療法士・作業療法士ともに大学>専門学校の国家試験合格率が顕著になっています。
将来の養成数の推計
上記のような入学定員数の推移と国家試験合格率の推移で、現在の養成定員数が将来も維持された場合の2040年の療法士数の予測が以下の図になります。
2040年には約3倍(人口10万人に対する療法士数)すごい伸び率です。
療法士の年齢層
急激に増えている療法士の現在の年齢層は気になるところです。平成28年8月5日に開催された医療従事者の需給に関する検討会の資料を以下に示します。
赤枠で囲んだ部分が、21歳~30歳の年齢区分になっています。
この赤枠部分のパーセンテージは
理学療法士 56.3%(病院)
作業療法士 53.1%(病院)
言語聴覚士 47.3%(病院)
となっています。数字にすると以下のようになります。
20年後の2040年には、この年齢区分がどのように変化しているのでしょうか。
質が低下している?
過去の日本理学療法士協会が示している資料を医政局医事課で一部修正したものが下図です。
少し前の資料ですので、最近を反映していないと思いますが、卒業直後の理学療法士のレベルという項目で、多くの助言を要する割合が
2000年 34.6%
2005年 41.2%
2010年 42.7%
と年々上がっています。レベルが下がっていると言いたいのでしょうか。そしてその「質の低下」に対する意見として、以下のような意見をまとめています。
質の低下の原因が専門学校にあるかのような表現に見て取れます。大学推進の動きになっています。以下が2016年時点でのまとめです。
リハビリ関連職種の質の低下が問われています。2016年から4年経過し、最新の需給分科会(2019年)では大きく質の低下については深堀りしていません。私の知っているリハビリ関連職種の方々は、素晴らしい方がたくさんいます!
頑張れ!リハビリ関連職種!