新型コロナ回復患者の受け入れ後方病院は増えるのか?~【救急医療管理加算1】と【二類感染症患者入院診療加算】の併算定可との事務連絡~

急性期病院の医療がひっ迫している問題の解決策として、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の後方病床での受け入れ促進がクローズアップされています。社会的意義の高い後方病院での受け入れですが、厚労省は受け入れ促進に向けて「診療報酬上の臨時的な取り扱い」を打ち出しました。後方病院の受け入れが促進されれば、中等症・重症を受け入れる病床の回転率向上し、新規の中等症・重症患者の受け入れが促進される流れに期待が寄せられます。

現状の問題とこれまでの経緯

連日の報道・ニュースで、「新規感染者の増加」「重症者数の増加」「救急医療のひっ迫」が話題になっています。2月2日の報道ステーションでも特集で、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の後方病床による受け入れ先が少なく、そのためにベッドの回転が滞ってしまい、新規感染患者を受け入れらない状況が指摘されていました。入院が適わない患者は自宅療養を余儀なくされ、残念なことに自宅でお亡くなりになる方もいらっしゃいます。本当に残念なことです。

こうした状況を受けて、2020年12月の中医協総会で、二類感染症患者入院診療加算の特例増点が認められました。詳細につきましては別記事をご覧ください。

新型コロナウイルス感染症から回復した患者の受け入れに光が!~二類感染症患者入院診療加算の増点~
増点しなければ受け入れてもらえないのか? 人権を大事にする医療が望まれます。

新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関では、当該患者について、いずれの入院料を算定する場合であっても750点を算定できることとする内容となっています。12月15日の事務連絡を受け算定可能となりました。しかし、受け入れ先が飛躍的に伸びる結果には至りませんでした。そこで厚労省は、第2の矢である「救急医療管理加算」の適用幅拡大の事務連絡を打ち出しました。

【事務連絡】新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その34)

厚生労働省は1月22日の事務連絡にて「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その34)」を示しました。

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/iryo_shido/R02tsuchi.html

新型コロナウイルス感染症からの回復患者を受け入れた後方病院では、1月22日以降、救急医療管理加算1(950点)を、二類感染症患者入院診療加算の3倍相当の点数(750点)とは別個に算定可能とする。算定の上限は、最初に転院した保険医療機関における入院日を起算日として90とする。

救急医療管理加算の臨時特例の経緯

2020年4月に

新型コロナウイルス感染症患者の入院診療に当たっては、医師が診察等の結果、「緊急に入院が必要である」と認めた患者について、A205【救急医療管理加算】の救急医療管理加算1を最長14日間算定できる

新型コロナウイルス感染症患者は、A205【救急医療管理加算】の注1に規定する「緊急に入院を必要とする重症患者として入院した患者」と見なす

新型コロナウイルス感染症患者に対してのみ救急医療管理加算1を算定する医療機関では、施設基準等を満たすものとし届け出を不要とする

旨の臨時特例が設けられました。

1月22日の事務連絡を図式化

1月22日以降、救急医療管理加算1の算定に関する特例は、二類感染症患者入院診療加算の3倍算定に関する特例とは別に、厚労省の定める退院基準を満たし、感染症の入院勧告・措置が解除された後、最初に転院した保険医療機関における入院日を起算日として90日を限度として算定できる

1月22日以降、新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関から、やむを得ない理由等により、他の保険医療機関に転院した場合でも、当該加算は引き続き算定可能である。ただし、2回目以降の転院については、感染症法に基づく入院措置の終了後、「最初に転院した保険医療機関における入院日」を起算日とする。また、当該加算の算定に当たっては、レセプトの摘要欄に「最初に転院した保険医療機関における入院日、転院前の保険医療機関における当該加算の算定日数」を記載する(当該保険医療機関に転院するよりも前に、複数の転院がある場合は、それぞれの保険医療機関における当該加算の算定日数を記載する)

特例による報酬増の試算

二類感染症患者入院診療加算7,500円+救急医療管理加算9,500円=17,000円/日 

90日入院した場合17,000円×90日=1,530,000円/人。

90日入院することは少ないかと思いますが、机上の計算では1人当たり153万円となります。

1ヶ月で計算すると17,000円×30日=510,000円/人となり、対象患者が1月に30名入院した場合、510,000円×30人=15,300,000円/月となる大きな加算です。

まとめ

今回の特例で新型コロナウイルス感染症から回復した患者の受け入れ先は広がるのでしょうか。私見ですが、新型コロナウイルス感染症に対する世間の風評被害を恐れ、受け入れに二の足を踏んでいる病院も多いのではないかと思います。大きな加算であることは間違いないのですが、日本の医療のひっ迫状況を改善するためにも、お金以外のホスピタリティの精神で、受け入れ先が増えていくことを切に願うばかりです。

頑張れ!受け入れ先!

特例税制適用のポイントを押さえ、税制優遇受けられる点は受けていきましょう!