医事課必見!健康保険法等の一部を改正する法律はレセプトに関係する?

2020.4.1より医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部が改正される見込みです。今回はこの法改正の概要と影響のありそうな部分に関して、私見も含めてまとめていきたいと思います。

改正の概要

改正の概要は大きく6つに分けられています。

文字が多くて難しいー!以下に抜粋します。

①オンライン資格確認の導入

②オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設

③NDB、介護DB等の連結解析等

④高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等

⑤被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化

⑥審査支払機関の機能の強化

いやー文章が難しくて入ってこない!頭が痛くなりますが、頑張って読み解いていきます。

改正の概要の概要

この6つの改正は何が言いたいのか?よく読んでいくと4つに分けられそうです。6つは難しいけど4つならなんとか。以下に要点をまとめます!

①②⑤

『保険者間で被保険者の情報を一元的に管理したい』

そのために必要な情報化を支援しますよー

そして被保険者の資格取得をしっかり教えてねー

っていうことだと解釈しました。

医療保険データ(NDB)と介護保険データ(介護DB)を連結して

公益目的で研究できるようにしたい

2040年問題に向けてDPCとも絡めたい

つまりデータの一括管理がしたい

バラバラの予防事業を一体的に実施したい

さらに市町村等が各高齢者の医療・健診・介護情報等を一括把握したい

この部分は別の記事で述べます。

審査支払機関のローカルルールの査定を見直しますよー

ざっと分けるとこのような感じでしょうか。この中でまずは、「⑥審査支払機関」について掘り下げてまとめていこうと思います。審査支払機関と言えばあまり聞きたくない名前ですね。この改正の概要は医療従事者、とりわけ医療事務の方にはより身近なレセプトに関する改正かなと理解しました。

③審査支払機関の機能強化は吉?凶?

まずは医事課の方。毎月大量のレセプト点検お疲れ様です。外から見ていても大変そうです。本改訂による審査支払機関の機能強化によって、毎月定例業務のレセプトはどのような影響を受けるのでしょうか?影響を述べる前に現在の問題点からまとめていきます。

審査支払機関の問題点

2018年6月の答申で政府の規制改革推進会議は大きく3点指摘しています。

①支払基金の都道府県支部の存在がレセプト審査におけるローカルルールを生んでいる!

②ICTを活用した業務の効率化や合理化が進んでいない!

③皆保険制度維持のために審査における判断基準の明確化や統一性の確保が必要!

審査支払機関の皆様方の業務の効率化が図れ、審査の統一性が確保できるならローカルルールはなくなるのでしょうか?

審査支払期機関の改革

問題点に続いて審査支払機関の改革をまとめます。

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本部によるガバナンスを強化

現行法上の支部の都道府県必置規定を廃止し

支部長が担っている権限を本部に集約

②レセプト事務点検業務の実施場所を「全国10か所程度の審査事務センター」(仮称)に順次集約

③47の都道府県支部に設置されている審査委員会を本部のもとに設置

改革の本質本部のガバナンスを強化し支部の力をとりますよ!ちゃんと管理機能を働かせます!ということです。

ここに注目!

支払基金が実施できる新たな業務として「データ分析等に関する業務」が追加されました。これは「しっかり分析してくださいね。そのために情報通信技術やデータ分析等の専門家の意見を聴く仕組みを新設しましたよ。」ということです。

また審査委員は、診療担当代表と保険者代表のみ同数とするよう見直しされ、機動的な審査委員の確保を図ることにする。となっています。

関連した見直しが国保連でも行われるようで、支払基金と国保連で違う動きをされるよりはいいことですね。

審査支払機関の基本理念とは

公正中立な審査の実施やデータ分析等を通じた国民の保健医療の向上及び福祉の増進

②情報通信技術(ICT)の活用による業務運営の効率化

③業務運営の透明性の確保

④適正なレセプトの提出に向けた医療機関等への支援

国保連との有機的な連携の推進

私には言葉が難しくて理解できない!しかしながら、適正な審査つまりローカルルールをなくしましょう!業務の効率化を進めましょう!ということは伝わります。

我々への影響は?

結局のところ我々への影響はというと、すぐすぐレセプト業務が減るわけではない。

がっかり。

しかしながら、ローカルルールで苦しんでいるところは恩恵を受ける可能性があります。その1つが回復期リハビリテーション病院。西日本の多くの県で、出来高算定の疾患別リハビリテーション料が軒並み減額査定を受けているようです。ご周知のとおり回復期リハビリテーション病棟では1日最大3時間(9単位)のリハビリテーションを提供することができます。このうち一律に6単位を上限に査定を受けているという状況が数年前から続いている県もあるようです。さらに酷い状況では、一律3単位を上限に査定を受けている地域もあるようです。

このようなローカルルールは国保連に多いようですが、2016.6に開催された「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」で国民健康保険中央会理事長の柴田雅人氏は、「都道府県の国保連は独立した組織であり、どうしても地域差は生じてしまう。それを是正すべく2015年から審査情報を中央に提示してもらい、それを共有する取り組みを行っている」と説明しています。

さらに、「支払基金との審査基準統一も実施したい。最終的には審査システムに反映させたい」との考えを示しています。2016年からもうすぐ4年。2020.4.1の同法の改正でローカルルールはなくなるのか?この部分は見所の一つとして今後も着目していきます!

頑張れ!

ローカルルールで涙している方々!

そして頑張れ!

膨大なレセプトを毎月処理している

医療事務の方々!

そしてそして頑張れ!

その膨大な複数病院のレセプトを

審査している審査委員の方々!

私は全ての人を応援します!