前回の記事で療養病棟の改定のポイントをまとめました。
その記事の後に具体的な数値が出されましたので、前回記事に沿って具体的な数値を見ていきたいと思います。
2022年診療報酬における療養病棟の改定ポイントを以下に4点まとめています。
療養病棟入院料の表
まずは医療区分を以下にまとめています。
この表を参考にして改定ポイントを見ていきましょう。
①経過措置病棟設置期間は延長されるが入院料は100分の75に引き下げに
療養病棟入院基本料の注11に規定する令和4年3月31日までの経過措置病棟の設置期間は、令和6年3月31日まで2年延長される見込みです。(2024年3月31日まで延長)
しかし、入院料は現在の「療養病棟2の85%」から75%に引き下げられるため収入減は否めません。
延長するけど厳しくするよ、という厚労省のメッセージですが、100分の60も予測されていただけに何とか10%ダウンで収まりました。
しかし、減収は減収。経営陣の判断は、2年間の延長と収入減のバランスが問われますね。
②FIMによる評価を行わない場合はリハビリは一部包括される
経過措置病棟において、疾患別リハビリテーション料を算定する患者に対して「月1回以上のFIM測定」を行わない場合は2単位までの出来高算定となり、2単位を超えるリハビリは包括化される見込みです。
FIM評価がほぼ必須化されたと言っても良いでしょう。
F厚労省はデータ提出によって療養病棟の状況を把握します。
回復期のように療養病棟もFIMのアウトカムが報酬に影響されるのでしょうか。
以下からの記事は前回まとめたものとなります。
※●部分がなかったので同じ内容となっております。
③FIMによる評価を行わない場合は医療区分2→医療区分1に引き下げられる
医療区分2で疾患別リハビリ料を算定する患者について、FIM評価を行わない場合には「医療区分1」の点数を算定することとなります。
1日当たり4,000円強の入院料が減収となります。
4,000円×30日=120,000円/人
大きな減収となるため、この点からも実質的にFIM評価は必須化された形になります。
[経過措置]
令和4年3月 31 日において現に療養病棟入院基本料に係る届出を行っている保険医療機関については、同年9月30日までの間に限り、FIM の測定を行っているものとみなす。
④摂食機能または嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合のIVH実施患者の医療区分3→医療区分2に引き下げられる
摂食機能または嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合には、「中心静脈栄養を実施している状態にある患者」について「医療区分3」でなく「医療区分2」の点数を算定することとなります。
経過措置は以下のようになります。
まとめ
療養病棟にもメスが入った形です。
①引き下げられる入院料
②なんちゃって回復期にならない楔
③中心静脈栄養からの離脱
この3点について不適切な状態だと厚労省は睨んでおります。
是非とも療養病棟にはデータ提出でFIMの利得等のデータを示していただき、自病棟の価値を高める努力をしていただきたいものです。
そうしなければ数年後さらに厳しい改定となるのではないでしょうか。
厚労省は該当病棟に求められている役割を適切に発揮するように求めています。
努力している療養病棟も多く存在します。
2022年は療養病棟の真価が問われる改定となりそうです。