2022診療報酬改定情報~地域包括ケア病棟の具体的な改定が出ました!~

2022年2月9日に中央社会保険医療協議会・総会が開催されました。

●になっていた具体的な数値が表示され、各病院は収支への影響を計算しているのではないでしょうか?

思っていたよりも厳しい数値になっていない部分や予想通り厳しい数値になっている部分もありますが、地域包括ケア病棟は全体的に向かい風改訂になっております。

前回まとめさせていただいた記事を元にして、●部分を1つずつ見ていきます!

  1. 地域包括ケア病棟の個別改定項目11のポイント!
    1. ①地域包括ケア1・2の在宅復帰率要件7割から「7割2分5厘」へ
    2. ②地域包括ケア3・4は新たに在宅復帰率要件を「7割以上」で追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の90」に減算
    3. ③地域包括ケア2・4における自院の一般病棟から転棟した患者割合の要件がクリアできない場合の入院料の減算幅を「100分の85」へ
    4. ④上記③の対象病棟は200床以上400床未満の医療機関に拡大
    5. ⑤地域包括ケア1・3における自宅等から入院した患者割合の要件が現在の1割5分以上から「2割以上」へ変更し、自宅等からの緊急の入院患者の3月受入れ人数は現在の6人以上から「9人以上」へ
    6. ⑥地域包括ケア2・4においても自宅等からの受入れ要件等を追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の90」に減算
    7. ⑦算定要件である在宅医療等の実績について、退院時共同指導料2の算定回数の実績要件に外来在宅共同指導料1の実績を用いてもよいということに拡大
    8. ⑧地域包括ケア1・2において許可病床数が100床以上の場合には入退院支援加算1の届出を必須とし、クリアできない場合は入院料を「100分の90」に減算
    9. ⑨一般病床で地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定する場合は、第二次救急医療機関であること、または認定された救急病院であることを要件に追加
    10. ⑩急性期患者支援病床初期加算及び在宅患者支援病床初期加算の見直し
    11. ⑪療養病床の地域包括ケア病棟等では入院料を「100分の95」に減算するが、下記の場合は「100分の100」で算定可能
  2. まとめ

地域包括ケア病棟の個別改定項目11のポイント!

地域包括ケア病棟の個別改定のポイントは全部で11項目です。

①地域包括ケア1・2の在宅復帰率要件7割から「7割2分5厘」へ

②地域包括ケア3・4は新たに在宅復帰率要件を「7割以上」で追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の90」に減算

在宅復帰厘!

ここまで細かく設定する必要があるのかは疑問が残りますねー。

7割5分を超えるかと思われましたが、この程度の数字であれば問題なくクリアできるかと思います。

③地域包括ケア2・4における自院の一般病棟から転棟した患者割合の要件がクリアできない場合の入院料の減算幅を「100分の85」へ

④上記③の対象病棟は200床以上400床未満の医療機関に拡大

クリアできない場合の所定点数は100分の80、最悪100分の60も有り得るのではないかと予想していましたが、実際は100分の85でした。

最悪の事態を想定していただけに拍子抜け感は否めないですが、それでも減算は減算。

収益に打撃を与えます。

⑤地域包括ケア1・3における自宅等から入院した患者割合の要件が現在の1割5分以上から「2割以上」へ変更し、自宅等からの緊急の入院患者の3月受入れ人数は現在の6人以上から「9人以上」へ

⑥地域包括ケア2・4においても自宅等からの受入れ要件等を追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の90」に減算

これはあくまでも地域包括ケア病棟という名称のとおりに、地域における、とりわけ自宅等からの受け入れ病棟としての機能を保ちましょうというメッセージです。

救急を受け入れず、自院の一般病棟からの受け入れに終始している、都合の良い病棟になってしまっていることに対するメスです。

地域包括ケア病棟管理料1及び3における病床数が10床未満の病室においても自宅等からの入院受けれ数は3月で6人以上から8人以上に変更になりました。

病床規模に関係なく、自宅等からの受入れ促進の動きになってきていますね。

⑦算定要件である在宅医療等の実績について、退院時共同指導料2の算定回数の実績要件に外来在宅共同指導料1の実績を用いてもよいということに拡大

これはメスではなく条件緩和ですね。

⑧地域包括ケア1・2において許可病床数が100床以上の場合には入退院支援加算1の届出を必須とし、クリアできない場合は入院料を「100分の90」に減算

入退院に関する機能の強化を図ってくださいということですが、届出していない場合にも減算されるなんて地域包括ケア病棟は減算病棟になっちゃう改定ですね。

⑨一般病床で地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定する場合は、第二次救急医療機関であること、または認定された救急病院であることを要件に追加

これは救急医療体制が取れていない地域包括ケア病棟に対するメスですね。

※ただし200床未満の保険医療機関は救急外来を有していること、または24時間の救急医療提供を行っていることで要件を満たすこととする

⑩急性期患者支援病床初期加算及び在宅患者支援病床初期加算の見直し

  • 転棟元が特別の関係にあるか否か※許可病床400床以上か400床未満かで評価
  • 介護老人保健施設から入院した患者か否か
  • 介護医療院や特別養護老人ホーム等から入院した患者か否か

上記3点で判断するように評価が見直される見込みです。

これは転棟元との関係性にメスが入りました。

これも過去のデータで介護老人保健施設から入棟した患者の重症度が高いというデータが示されていましたので、地域の中で重症患者を受け入れていきましょうというメッセージですね。

⑪療養病床の地域包括ケア病棟等では入院料を「100分の95」に減算するが、下記の場合は「100分の100」で算定可能

一般病床と療養病床に強弱をつけた内容となっています。

厚労省としては一般病床を優遇しているというよりも、本来の機能を満たしていない療養病床の地域包括ケア病棟にメスが入った形です。

しかし、以下に該当する場合は療養病床であっても100分の100の算定が認められており、病床区分ではなく機能重視の改定となっており好感が持てます。

1.自宅等からの入院受入れ割合が「6割以上」
2.自宅等からの緊急入院患者の受入実績前三月で30人以上
3.救急医療体制が整備されている

まとめ

今回明らかになった数値ですが、最悪の数字設定にはならなかったという印象です。

それでも減算は減算。

クリアできるように各病院体制整備にご尽力ください!

頑張れ!地域包括ケア病棟!