回復期リハ病棟の2022改定ポイントはこの5点!

2022年1月26日に中央社会保険医療協議会・総会が開催され、2022年度診療報酬改定に向けた「個別改定項目」が提示されました。

また2月9日には●表記だった具体的な数値が示されました!

個別改定項目に記載されている順に回復期改定のポイントを5点まとめていきます。

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回復期リハ病棟2022改定の5つのポイント

①回復期リハ5を廃止し、現行の回復期リハ6を回復期リハ5に位置づけ、回復期リハ5は2年間に限り算定することができることとする

6段階の回復期入院料が5段階となります。

しかし回復期リハ5の算定期間は「2年間に限り」とされているため、2024年改定の時には回復期リハ5も廃止になります。

②回復期リハ病棟入院料1~4の重症患者割合を見直し、1及び2については4割以上、3及び4について3割以上とする

現状の重症患者の算出の仕方(※)は変わるのか、という点ですが、今回の個別改定項目では触れられていないため、重症患者の算出については同条件かと思われます。

※重症患者:日常生活機能評価10点以上またはFIM55点以下の患者

しかし4割以上に設定する意味合いが分からない!

どこまで引き上げればいいの、重症者!

③回復期リハ1又は3の要件として「公益財団法人日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けていることが望ましい」を新たに盛り込む

まだ「望ましい」という表現ですが2024年には「なければならない」という表現で入り込む可能性が高いですね。

既に公益財団法人日本医療機能評価機構のリハビリテーション病院の受審枠は2023年5月まで埋まっておりました。

先を見据えた受審合戦が進みそうですね。

④「回復期リハビリテーションを要する状態」に「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態」を追加し、算定上限日数を90日以内とする

今までリハビリが必要な状態であるにもかかわらず、回復期リハビリテーションの対象疾患ではなかったため、行き場のなかった心大血管に対しては光明となる改定です。

しかしながら対象疾患になったからと言って、多くの回復期リハビリテーション病棟で心大血管疾患を受け入れるには時間がかかりそうです。

その理由としていくつか挙げられます。

機材の初期投資がかかりすぎる

今回の個別改定項目の中の文章に心大血管の算定に関しては「ただし心肺運動負荷試験を入棟時及び入棟後、月に1回以上実施することが望ましい」という一文が明文化されています。

まだ「望ましい」という表現ですが、心配運動負荷試験の導入には数千万円の投資が必要です。

検査測定にかかる手間・労力と患者状態

月に1回以上の測定に関しては、測定の手間患者状態の安定化が重要となります。

入棟時すぐに心肺運動負荷試験をかけられる患者は多くはないのではないでしょうか?

心肺運動負荷試験は一定の負荷がかかります。

その負荷に耐えられる耐用性は入棟時にはまだなく、月に1回以上というのもハードルは高いように思えます。

この「望ましい」という表現が「しなければならない」となると、折角回復期リハの対象疾患に入ったのに心大血管リハを手掛けない回復期リハ病棟は一定数ありそうな予感がします。

専任医師の出勤状況によってリハ提供の有無が変わる

現在の心大血管リハの算定条件として、専任医師が保険医療機関内にいることが条件となっています。

365日のリハビリテーションを大事にしている回復期リハ病棟にとって、365日専任医師を出勤する勤務体制は、医師が充実している病院にしかできません。

リハビリスケジュールの手間・労力

専従スタッフの要件に看護師または理学療法士等をおかなければなりません。

その専従者は心大血管リハが実施されている時間帯は心大血管に従事しなければなりません。

例えば、専任のリハビリスタッフが心大血管リハを実施している時間帯は、専従のリハビリスタッフは脳血管リハや運動期リハに従事できないため、全体を見てのスケジューリングが重要となります。

もしかすると、現在の脳血管リハや運動期リハのように、登録医師の出勤状況に関係なく心大血管が算定できるようになるかもしれませんし、専従リハスタッフも要件緩和されるかもしれません。

回復期リハ対象になったのであれば、脳血管リハや運動期リハと同等の位置づけにするのが妥当ではないでしょうか。

⑤新たに回復期リハを要する状態に追加された「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」の患者は、リハビリテーション実績指数に算出対象から除外することができる(※ただし3割を超えない範囲は継続)

④の心大血管リハの続きですが、新たに回復期リハの対象患者に追加された心大血管リハは、リハビリテーション実績指数の算出対象から3割を超えない範囲で除外できる点も注目しなければいけません。

従来、「入棟時運動項目のFIM点数が高値・低値、認知項目のFIM点数が低値、高齢者」のいずれかは除外対象でしたが、新たに心大血管リハ対象患者も追加されました。

個人的には、

麻痺はないものの動けないため介助が必要で入棟時FIMは高くない。

退棟時はほぼADLは自立になりFIM利得は高い。

麻痺がないためFIM利得の予測もしやすく除外選定しやすい。

と考えております。

その他:特定機能病院において、新たに「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を新設する

令和4年3月 31 日をもって廃止予定であった特定機能病院における回復期リハビリテーション病棟入院料は、一転して「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料」と位置付けられる見込みです。

この理由として、「現に届出がなされている特定機能病院の病棟において一定程度の役割を果たしていることが確認されることから、特定機能病院におけるリハビリテーションに係る役割を明確化する」とされています。

注目されていた入院料ですが、入院料1と同点数に設定されました!

また算定に当たる施設基準は、新規入院患者のうち5割以上が重症患者であること等、条件が17つほど挙げられています。

以下、特定機能病院の概要

まとめ

大きな改定には至らなかった回復期リハ病棟ですが、注目は第三者機関のチェックが入ってきたことですね。

FIMの適切な点数を測定するため

という理由が大きな理由のようですが、現在の日本病院機能評価機構の本審査ではFIMの細かな採点の確認等は行われておりません。

病院機能評価は2023年以降にバージョンアップされる予定ですので、そこにFIMや評価についての細かなチェックが盛り込まれる可能性はありますね。