2021年12月10日の中医協資料入院(その7)で地域包括ケア病棟の在り方について議論されています。
前回の2020診療報酬改定では地域包括ケア病棟にはメスが入る改定となりました。
詳細は以下記事から。
2021年12月10日の中医協資料入院(その7)で示された資料枚数は33スライドあります。
はたして2022診療報酬改定では地域包括ケア病棟にさらにメスが入るのでしょうか?
地域包括ケア病棟の課題と論点
中医協では地域包括ケア病棟の課題と論点を以下のようにまとめられています。
「地域包括ケア病棟に求められる3つの役割について、病床規模や病床種別による患者の背景・地域における運用の在り方等が異なることも踏まえつつ、その評価の在り方についてどのように考えるか」
ここで挙げられている3つの役割ですが、地域包括ケア病棟の病床規模等によって「その在り方が異なっている現状」について今一度在り方を考えましょう、という内容です。
地域包括ケア病棟の3つの役割
それでは3つの役割を見ていきます。
①急性期からの入棟 ②自宅からの入棟 ③在宅復帰
この3点が地域包括ケア病棟の役割です。
施設基準から見る3つの役割
施設基準内にもこの3つの役割が盛り込まれています。
①一般病棟から転棟した患者割合 6割未満
②自宅等から入棟した患者割合 1割5分以上
自宅等からの緊急患者の受入 3月で6人以上
③在宅復帰率 7割以上
病床規模等によって、この3つの役割が異なる在り方になっている、というのが現状です。
同じ地域包括ケア病棟なのに異なる現状。
一部の役割に偏っている医療機関があるのであれば評価にメリハリをつけるのは当然であると明言されております。
中医協での議論
地域包括ケア病棟3つの役割別に中医協はデータを示しています。
①一般病棟からの受け入れ
自院の一般病棟からの受け入れは、入院料1よりも入院料2の方が高い傾向にあります。
②自宅等からの受け入れ
自宅等からの受け入れは、入院料2よりも入院料1の方が高い傾向にあります。
また自宅等からの緊急患者の受け入れは、入院料2よりも入院料1の方が多い傾向にあります。
③在宅復帰率
在宅復帰率は入院料に関係なく施設基準の7割以上はほぼクリアしている現状となっています。
入院料別で満たしている要件の違いは?
前回改定で地域包括ケア病棟の施設基準要件は以下の6つのうち2つ以上を満たすこととなりました。
この満たす要件は入院料によってどのような違いがあるのでしょうか。
当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料の算定回数が直近3か月間で30回以上あること
同一敷地内又は隣接する敷地内の施設等で介護保険における訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問看護又は介護予防訪問リハビリテーション等のサービスの提供実績を有していること
この2つを満たしている要件にしている施設が大半で、入院料の違いによる差は大きくはありません。
違いと言えば「当該保険医療機関において在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定回数が直近3か月間で30回以上であること」の項目が、地域包括ケア入院管理料4のみ50%満たしているという違いが見られています。
救急医療体制の違い
入院料別で満たしている要件項目の違いは顕著ではありませんでしたが、救急医療体制の違いは入院料別では顕著に見られています。
救急未実施が2割未満の入院料1・2に対して、入院料3・4では25%~50%救急医療を実施していない結果となりました。
この部分に対して、次回の改定ではメリハリのある評価となりそうです。
また、介護老人保健施設から入棟してきた患者は、他のルートに比べて状態が不安定な患者が多い傾向となっています。
この入棟ルートは、一般病棟・自宅からの入棟以外にも地域包括ケア病棟の役割の1つとして必要であることがデータから示されています。
まとめ
2022診療報酬改定は地域包括ケア病棟にとっては強弱のつく評価、メリハリのある評価となりそうです。
役割を全うしていない地域包括ケア病棟にとっては厳しい改定になることはデータ上から必須かと思われます。
病床変遷で自院の一般病棟を地域包括ケア病棟に転換した病院も多いのではないでしょうか?
今一度、地域包括ケア病棟に求められている役割を見つめ直すには良い時期ではないかと思います。
頑張れ!地域包括ケア病棟!