支払側と診療側の攻防戦!~2022診療報酬改定はプラス改定かマイナス改定か~

令和3年12月10日中央社会保険医療協議会で2022年診療報酬改定の攻防戦が始まりました。

プラス改定マイナス改定か。

支払側と診療側の攻めぎあいは続きます。

支払側の意見

まず、支払側の意見は次のとおりです。

医療経済実態調査の結果、医療法人の病院は黒字を維持し、一般診療所、歯科診療所、保険薬局は依然として高い水準の黒字である。さらに、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含めた場合には、総じて医療機関の経営は安定している。単月調査の結果から直近の状況をみると、令和3年6月の損益差額は、令和2年6月と比べて概ね改善し、一般診療所の損益差額は令和元年6月を上回った。

こうした状況に加え、国民皆保険制度の長期的な持続可能性を高めつつ、医療提供体制を新興感染症にも強い効率的・効果的な仕組みへ再構築することや、高い水準の自然増を考えれば、令和4年度は診療報酬を引き上げる環境になく、国民の負担軽減につなげるべきであり、配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定とする必要がある。

薬価等については、イノベーションの推進にも配慮しながら、市場実勢価格の低下に伴う公定価格の引き下げ分を、長期的に上昇し続ける負担の抑制のために還元されなければ、国民の理解は得られない。

診療側の意見

これに対し、診療側の意見は次のとおりです。

医療経済実態調査の結果をみても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が医療機関経営に大きな打撃を与え、期中、診療報酬において臨時的な対応をとったにもかかわらず、収益は大きく悪化した。新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含んだ場合でも、損益差額率は一般病院でほぼプラスマイナスゼロ一般診療所では前々年度よりも縮小しているなど医療機関等の経営はきわめて厳しい。

また、急な新興感染症等の流行などの有事の際にも即座に対応できるよう、平時の医療提供体制の余力が必要であり、あわせて、医師等の働き方改革が確実に実行できるようにするとともに、医療機関等がそれぞれの状況に応じて幅広く、かつ恒久的な賃上げを行うことができるだけの原資を確保する必要がある。

こうした状況等から、国民の安全を守るためには、地域の医療と医療従事者を支える適切な財源が必要であり、令和4年度の診療報酬改定では、薬価財源は診療報酬に充当した上で、プラス改定しかあり得ない。

協議会のまとめ

本協議会は、社会保険医療協議会法でその組織構成や、審議・答申事項等を法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払側委員と診療側委員、そして公益委員が、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、診療報酬改定の責任を果たしてきた。

診療報酬改定は、基本方針に沿って、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することにより、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。

そのために、本協議会においては、これまでも医療制度全体を見渡す幅広い観点から、膨大な時間を費やしデータに基づいた真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそのように取り組み続けていく。

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要は第2ラウンドに続くということです。

実際は改定率については既にコアな部分で決まっているのですが、パフォーマンスの部分も多分にあろうかと思います。

支払側も診療側も、自団体の守る部分があるため、このような攻防戦は見せ方としては自団体の納得を得るには必要なことですよね。