利用者・家族からのハラスメントはえげつない?

介護保険サービスでは各種サービスの多様性から、施設外で行われるサービスも多く存在しています。そのため施設管理者の眼が届きにくい状況下で、利用者・家族からのハラスメントを受けている状況も少なくありません。どのようなハラスメントが起きているのか、またその際に職員は自分自身で悩んでいないか、相談できているのか等、アンケート調査から分かる部分をまとめていきます。

利用者から受けたハラスメントの内容

ハラスメントの内容を「身体的暴力」「精神的暴力」「セクシャルハラスメント」「その他」に分類し、種別サービス別にまとめています。

入所系は身体的暴力が多く、訪問系は精神的暴力が多い傾向にあります。セクシャルハラスメント30%~40%台となっていますが、訪問看護においては50%を超える状況となっています。

家族等から受けたハラスメントの内容

家族等から受けたハラスメントの内容は圧倒的に精神的暴力が多い傾向にあります。

どの種別サービスにおいても家族等から受けるハラスメントは精神的暴力がおおむね80%を超えており、暴言を吐かれたり、威圧的な態度を取られることが多い状況となっています。サービスを受けているものという間違った認識で高圧的になっているのであれば、早急に認識を正すようにしなければいけません。サービス提供側が弱い立場になっているのであれば、今後の介護サービスの発展はありえません。さらに言うと、見えない場所で身体的にも精神的にも暴力を受けている職員は、悩みを1人で抱え込む傾向にあるようです。ハラスメントを受けた際に相談しなかった割合はどの程度なのでしょうか。

ハラスメントを受けた際に相談しなかった割合

ハラスメントを相談できずに悩んでいるケースはどの程度なのでしょうか。見えない場所で行われるハラスメントは立証がしにくく、相談できないケースも一定数あるようです。

どの種別サービスも1割以上が相談できていない状況となっています。特に介護老人福祉施設は、3人に1人以上がハラスメントを受けても相談できない状況です。一方、相談できている割合も8割前後あるようです。誰に相談することが多いのでしょうか。

ハラスメントの相談相手

上司に相談はおおむね8割以上、職場の同僚に相談は6~7割程度となっています。

また友人・知人10%弱となっており、個人情報保護規定内で友人・知人に相談しているケースもあるようです。

相談しない理由

上司・同僚に相談できている一方、相談しない方も一定数います。相談しない理由を以下にまとめています。

介護分野で勤務されている方々は「奉仕の心」を強く持っている方が多く、「相手のことを考えて相談しなかった」「認知症等の病気があったから」等の相手のことを慮るあまり、相談できない状況であることが見て取れます。

一方、「相談自体に無駄を感じている」方もおられます。「相談しても解決しない」「あとが面倒」「相談しても否定されるのが嫌」等と相談自体に意味を感じていない意見もありました。このような心理状態になると、仕事に対するやりがいや、他者からのサポートの欠如につながり、仕事をやめる決断をされる方もいるのが実情ではないでしょうか。

ハラスメントを受けて仕事を辞めたいと思った割合

介護分野で勤務されている方々には、頭が下がる思いです。大変な仕事をハラスメントを受けながらも、奉仕の心でやり抜く。こんな素晴らしい方々が、ハラスメントを受けて辞めたいと思う割合はどの程度なのでしょうか?

おおむね3割程度の職員が辞めたいと思ったことがあるという結果でした。訪問リハビリテーションのみ2割を切っており15.0%となっています。3人に1人がハラスメントを受けて辞めたいと思ったことがある現状を早急に解決していかないと、介護部門の人材不足が顕著になってきます。人材不足になると1人にかかる負担が増大し、ますます過酷な職場になっていく悪循環が考えられます。まずは相談できる状況を内部機関・外部機関ともに整備していくことが重要であり、また利用者・家族等にハラスメントに対するエデュケーションも実施していき、眼の届くような環境を整えることが先決かと思われます。

まとめ

・利用者からのハラスメント内容は身体的、精神的暴力双方ある

・家族等からのハラスメントは精神的暴力が圧倒的に多い

・威圧的な態度等をとる精神的暴力は見えない場所で行われている

・ハラスメントを受けた職員は上司、同僚に相談する割合が多い

・一方相談できないケースも一定数ある

・相談できない理由は「奉仕の心」「諦めの心」に分けられる