VISITを推し進めるには人参が絶対的に必要!

これまでVISITの現状と機能についてまとめてきました。VISITを活用している事業所数も低値であり、効率的な機能も十分に活用できているとは言い難い現状です。厚労省の推し進めたい意図とは大きくかけ離れています。そこでVISITの活用率を上げるための最善策について「できる・できないという視点ではなく」「考えられる視点」でまとめていきたいと思います。

結局VISITに不満はあるのか?

活用できていないのであればVISITを宣伝していけばよいだけなのですが、不満を感じているのであればその不満を取り除く、もしくは不満な要素を超える満足する要素を出していかなければ解決にはつながりません。今現在の満足度を見ていきます。

やや不満34.2%、不満26.1%となっており、合算すると不満を感じている割合は60.3%に及びます。この不満を何とかしなければ、今後活用したいと思う事業所は増えていきません。

今後活用したいと思っている事業所は?

このように6割を超える事業所が不満を感じている中で、今後活用していきたいと思っている事業所はどの程度いるのでしょうか?

衝撃の結果です。

「今後活用する予定」6.6%に対し、「今後活用する予定はない」57.8%となっています。これは厚労省としてもお尻に火が付く結果ではないでしょうか。6.6%の活用予定で推し進めるのは限界があります。早急に改善していかなければいけません。では何を改善すればよいのでしょうか?

ここを改善すれば活用したい!

「今後活用する予定はない」と答えた273事業所に追加アンケートで、「どのようなことがあればVISITを活用したいか」尋ねてみると、様々な意見が挙がりました。その中でも2点に着目してみます。

最も多い改善ポイントは「データ入力の負担軽減」75.1%であり、4分の3の事業所が負担軽減を望まれています。逆説的に見ると、4分の1の事業所は負担軽減が図れたとしても活用する気がないということも言えます。負担軽減以外の改善も必要となります。

次いで「リハマネ加算の単位数増」33.7%、「リハマネ加算Ⅳの毎月算定」23.1%、両者をリハマネ加算関連として単純に合算すると56.8%となります。もちろん複数回答ありですので単純合算ですが、リハマネ加算もVISIT改善の重要なポイントとなろうかと思います。やはり自分にとって旨味がないと食べないように、見える形でのメリット(報酬)は推し進める上では即効性のある最善策ではないでしょうか。今の報酬では低すぎるため、リハマネ加算の算定率は散々な結果となっています。

リハマネ加算Ⅳの算定状況

通所・訪問リハビリテーションにおけるリハマネ加算Ⅳの算定状況は1%~2%弱です。10~20%ではなく1~2%です。位が一桁違います。ここは思い切って単位も一桁上げていきましょう。

VISITを流行らせるクリティカルヒットは?

やはりデータ入力の負担を軽減する努力は必要でしょうが、やはり入力は入力。どこまでいっても負担は負担です。それならば「入力が負担という不満」を凌駕する満足する部分を作っていく、まさに人参作戦がクリティカルヒットになるかと考えます。まずは下記の資料のように通所リハと訪問リハのリハマネ加算の差を是正することから始めてみてはいかがでしょうか。

その上で現状のリハマネ加算4段階の上がり幅を是正することが必要かと思います。

加算Ⅰ⇒Ⅱ 200単位増

加算Ⅱ⇒Ⅲ 270単位増

加算Ⅲ⇒Ⅳ 100単位増

加算Ⅱ⇒Ⅲが最も上がり幅が最も大きくなっています。ⅡとⅢの違いは医師が説明するかリハビリスタッフが説明するかの違いです。医師が説明した方が当然高い単位数なのですが、実情はリハビリスタッフが説明した方が

分かりやすい・丁寧・ゆっくり説明できる

3拍子揃っています。医師に怒られるかもしれませんが、ⅡとⅢの違いよりもⅢとⅣの方が労力を要しますし、手間はかかるかと思います。

リハマネ加算Ⅲとリハマネ加算Ⅳの100単位増を1,000単位増にする。

このくらいの改善をしないと厚労省の思惑通りには進まないかと思います。1,000単位増はオーバーですが、あくまでもそのくらいの気持ちで。

まとめ

介護データベース「VISIT」シリーズ最終章。おそらくこれからVISITは本格稼働していくものと思われます。これから活用する事業所も現在活用している事業所も、本シリーズ記事を読んでいただき、参考になる部分があれば幸いです。2020年9月に書いている本記事ですが、2025年頃にはVISIT・CHASEが通常業務になっていることでしょう。その時にもう一度この記事を読んで、あの時は全然稼働していなかったなーと思い出していただければと思います。複数回シリーズを時間を割いて読んでいただき感謝申し上げます。