介護版DPCはできるのでしょうか?介護現場のベンチマーク分析としてデータベースの構築が進んでいます。ストラクチャー・プロセス・アウトカムに基づいた介護の現場を見える化し「どのようなケアをすればどうなるのか」自立支援に向けた令和時代の介護がデータベースによって確立されようとしています。
介護関連データベース
現在、介護におけるデータベースは2つあります。
①介護保険データベース(介護DB)
②VISIT
加えて第3のデータベース
③CHASE(Care, Health Status & Events)
が本格的に稼働していきます。
CHASEの基本30項目
2018年3月の中間報告で265項目の初期項目を選定し2019年3月の検討会では収集項目の整理、2019年7月の取りまとめで30項目を基本項目としました。30項目は以下のとおりです。
VISITとCHASEの一体化
将来的にVISITとCHASEを一体化して運用していくために厚労省は2019年7月モデル事業等の申請を受け付けました。全国で100施設程度となっています。これはVISITの走り出し同様にモデル事業からの開始となっています。
そして2020年5月よりCHASEを試行的に実施しています。
VISITとCHASEへの入力は労力です。本当に厚労省が本格稼働を考えているのならば、その労力を最小化しない限りは進んでいかないでしょう。そこで厚労省はVISITとCHASEのデータ入力の省力化に向けたイメージ図をまとめています。
うーん。イメージのため労力は見えません。
厚労省の思惑通りにデータベースは進むのか
現在のデータベースであるVISITはどの程度の定着率なのでしょうか。VISITを使用している場合、介護報酬でリハマネ加算Ⅳが算定できます。その算定率を見ていきます。
通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションともに1%台。これでは強気になれるものではありません。リハマネ加算Ⅱ・Ⅲですら10~20%程度の算定率となっています。データベースを本気で進めていくためには、介護報酬で旨味を与えていくこととデータベースは将来的に介護の質を向上していくための材料であることを根付かせていく伝達力が重要となります。
まとめ
「データベースは将来的な介護の質の向上のための材料となる」
本来の目的が見えないと労力としてのデータベース構築として感じてしまいます。介護現場は負担が大きい仕事です。負担には身体的負担と心理的負担の双方が潜んでいます。そのような介護の現場を考慮せずに、VISITのように中途半端な介護報酬を乗せるのではなく、
①大盤振る舞いの介護報酬を乗せること。
②負担の軽減のために省力化を分かり易い形で示すこと。(身体的負担軽減)
③心理的な負担は負担感として感じるため、将来の介護の質の向上のためという目的を伝え負担感を軽減すること。(心理的負担感軽減)
この3つを整備していかないと介護のデータベース化は進んでいかないでしょう。