自費リハは『自称リハ』と呼ばれるようになるのか?パート②

日本医師会総合政策研究機構による調査報告書の中身をみていきます。本調査報告書は自称リハのこれまでの背景からまとめています。

自称リハ増加の背景

調査報告書によると自称リハが増加した背景を以下の2点から説明しています。

1点目。医療保険の逓減による入退院の繰り返し。

2点目。養成校の数の増大。

自称リハが増加した背景をこの2点で十分に説明できているでしょうか?

供給側の説明に寄っている感が否めませんね。供給する側の人数が多くなってきたことで病院という枠組みから溢れてきた理学療法士が増えてきたということを主張しています。たしかに作業療法士の人数の伸び率に比べ、理学療法士の伸び率は高くなっています。供給側の要因だけではなく需要側の要因は上記には記載されていません。自称リハが増加した背景として足りない点としては、需要側であるサービスを受ける方々の変化です。つまり、医療のリハビリテーションや介護のリハビリテーションでは満足を得られない人が増えた点です。この点を説得力のあるデータや資料で本報告書内で示してほしかったです。

自称リハが認められている部分とは

自称リハにおいて医師の指示がない部分では、どの程度まで実施することが認められているのでしょうか。通常、理学療法は医師の指示のもと実施されるものとなっています。

介護予防事業等理学療法士を名乗っても良いということを厚生労働省は判断しています。介護予防ですので理学療法士が理学療法士を名乗って行う範囲が拡がったことになります。しかし介護予防事業等という表現がファジーなため、自称リハが発展していったものと思われます。

そして介護予防事業等においては、医師の指示は不要と通知されています。一方、公益社団法人日本理学療法士協会は、2015年1月30日付けで「保険適用外の理学療法士活動に関する本会の見解」として違反行為の部分を明確に提示しています。

日本理学療法士協会は理学療法士の「開業権」及び「開業」については、現行法上、全く認められるものではないとの見解に立っています。しかし、実際は自称リハという位置づけで開業している理学療法士は多くいます。協会の影響力が薄い現状があらわになっています。

調査報告書がまとめる「事例」

調査報告書では現状の自称リハを以下のような事例としてまとめています。

「調査報告書」という名目のため良い・悪いという表現は一切していません。しかし文言の節々で悪い寄りの文言になっているように感じます。やはり理学療法士が開業するということに対して、良く思っていないのでしょうか。しかし市場は自称リハを求めています。医療のリハビリテーションや介護のリハビリテーションでは満足できない方が増えているのでしょうか。次の記事では、市場の部分や医療費をまとめていこうと思います。