地域包括ケア病棟はリハビリを実施しているのか?

地域包括ケア病棟の現状をもう少し確認していきます!シリーズ①では地域包括ケア病棟に入棟する患者はどこから入棟してくるのか、入棟元のデータを示しました。

シリーズ②では地域包括ケア病棟に入棟後実際の状況を指し示すデータを見ていきます。

地域包括ケア病棟での手術状況は?

地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟との決定的な違いの1つに処置の出来高算定が挙げられます。

地域包括ケア病棟の手術は2018年と比較してどの程度増えているのでしょうか?

入院中の手術の実施率は25となっています。4人に1人の手術実施率です。

シリーズ①でも示した通り、地域包括ケア病棟に入棟する患者を3つに分けて考えると

①自院 ②他院 ③自宅

つの流れに大別されます。

ではこの3つの流れによって手術の実施状況に違いがあるのでしょうか?

次の資料を見ると入棟前の場所別で手術実施状況に大きな差があることが分かります。

自院の一般病床から転棟した患者は3を超える方が手術を実施していますが、他院の一般病床から転棟した患者はわずか数%しか手術を実施していません。

ここで強調したいのはこのデータの※印の部分です。

一見、自院の一般病床から転棟した患者は地域包括ケア病棟で3割程度手術をしているように思いますが、※印に但し書きがあります。

※入院中の手術は同一医療機関内の他の病棟で実施された手術を含む

自院の一般病床での手術が含まれるため、実際には地域包括ケア病棟で手術することは多くはないと思われます。しかしながら、地域包括ケア病棟での処置の出来高算定は以前よりも増えており、柔軟な使い方ができる病棟として重宝されています。

地域包括ケア病棟でのリハビリテーションの実施状況は?

出来高算定の違いを見る

地域包括ケア病棟では平均2単位以上(40分以上)のリハビリテーションを実施しなければいけません。リハビリテーションの提供も地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟の違いがあります。

処置出来高 ⇒ 地域包括ケア病棟
リハ出来高 ⇒ 回復期リハビリテーション病棟

当然処置が出来高算定可能な地域包括ケア病棟に処置が必要な患者

リハビリが出来高算定可能な回復期リハビリテーション病棟にリハビリが必要な患者が

集まることになります。

まずは処置の違いを見てみましょう!

【週1回程度以下の診察】
回復期(45.7%)>地域包括ケア(29.2%)
【週2~3回の診察】
回復期(33.1%)<地域包括ケア(35.3%)
【毎日診察】
回復期(18.6%)地域包括ケア(28.7%)

このデータでは回復期<地域包括ケア医療処置の必要度となります。

リハビリの必要性は?

医療処置の必要性は理解できるところですが、リハビリテーションの必要性は分かりにくい部分です。回復期リハビリテーション病棟では9単位(3時間)のリハビリテーションが認められています。そのくらいの必要性があるという厚労省のメッセージかと思われます。

しかしながら地域包括ケア病棟は、医療構想の位置づけでは回復期に位置するのですが平均2単位以上(40分以上)という限りなく少ないリハビリテーションの提供になっています。その結果、リハビリテーションの実施状況は以下のとおりとなっています。

過去7日間で8回以上が14%となっています。7日間で8回ということは1日2回実施している日もあるということです。

過去7日間で5回ということはリハビリテーションが実施されない日は少なくとも2日以上あるということです。

回リハ病棟のリハ提供量と比較すると雲泥の差が出ています。出来高算定ができないから人的資源を少なくして平均2単位ギリギリで実施している地域包括ケア病棟も多いのではないでしょうか?

リハビリを実施していない患者の状態は?

リハビリテーションを実施していない患者で、移乗・歩行・階段・更衣のいずれかに介助を要している患者は約75%もいます。その75%の患者のうち医療的な状態が安定している、つまりリハビリ可能な患者は約60%もいます。

リハビリを実施していない患者には医療的な状態が安定している患者が相当数いるのに実施していない。

厚労省は見抜いています!

この資料は地域包括ケア病棟で勤務している方々にとっては衝撃的なデータではないでしょうか!