人生の最後を迎える場所は、その人の価値観によって大きく変わると思います。家族に見守られて逝きたい。住み慣れた家で逝きたい。家族に迷惑をかけたくない。十人十色ですが、自分の最後を自分の求める形で迎えたいと誰しもが思うところかと思います。まだ人生の最後を考えていない方もこの機会に一度考えてみてはいかがでしょうか。
死亡数の推移
「人生最後を迎える場所」と言われても実感がわかないかと思います。しかしこの資料を見ると実感がわくかと思います。ご覧ください。
厚生労働省がまとめている人口動態統計によると、2015年よりも2040年の方が年間約39万人死亡数が増加すると推計されています。人生100年時代と言いますが平均年齢80歳代。親が60台だとすると・・・。上記のデータは20年後です。自分の親が該当してくるのかと思うと実感がわいてきます。
最後を迎えたい場所と実際の場所の差異
最後を迎えたい場所は
自宅55%
病院等28%
となっており半数以上の方が自宅で最期を迎えたいと考えられています。
一方実際の死亡場所はどうでしょうか。2017年の人口動態調査では
病院73%
となっており、希望通りにはいかない現状が見て取れます。
介護保険三施設における退所状況
介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設の三施設の退所状況を見てみると「死亡」が退所理由となっている割合は以下のとおりです。
介護老人福祉施設67.5%
介護老人保健施設12.0%
介護療養型医療施設47.2%
主に生活の場となっている特養は、退所者のうち「死亡」が退所理由となっている割合は3分の2以上となっています。
小規模多機能型居宅の看取りの状況
小規模多機能では、人生の最後の場所はほぼ本人の意向とおりとなっています。
自宅の意向21.8%
実際の場所が自宅21.2%
一方、人生最後の場所を「施設」と考えている方はどうでしょうか
施設の意向37.2%
自宅or施設どちらかの意向16.7%も合わせると53.9%となります。
実際の場所が施設62.8%
こちらは誤差8.9%となっており、ほぼ意向とおりとなっています。
ここで着目したいのは人生最後の場所が自宅よりも施設と答えた人の割合が高かった点です。施設の形態によっては、自宅で最期を迎えたいと思っている人よりも、施設が自宅のように感じ、施設で最期を迎えたいと思っている人の方が多い結果となっています。その方にとっては施設がとても大事な場所になっているということです。
施設内での看取りを評価
施設内で最後を迎えたいと思われている方々が増えていることを見越し、2018年改定で看取り看護加算の手厚く評価するような改定が行われました。
看取りに関する加算をまとめると以下のとおりとなります。今後施設での看取りの重要性は高まると思われますが、自宅で最期を迎えたいという方も一定数います。どちらの看取りにも対応できるようなシステムの整備が急務となります。
しかしながら看取り関連加算の算定率は高くなく、取り組みが進んでいるとは言い難い現状です。
まとめ
人生の最後は誰しも迎えます。今までの人生をゆっくり振り返りながら、大好きな方々に見守られ、ゆっくり眠りにつくような最後を迎えたいと思っています。今回、「人生の最後をどこで迎えたいのか」という記事をまとめていくに当たり、自分の親や自分自身に置き換えて考えている自分がいました。自分に置き換えることで、より現実的な問題として身近に感じることができ、様々な要望に応えられるような看取り体制を早急に整備していって欲しいと心から願いました。
「死」とは怖いものです。まだ経験したことがないから怖いと感じます。人によっては死は恐れるものではないと言います。でも今の私は怖いと感じています。年を重ね、少しずつ「死」を考える機会が増えれば、「死」に対する心構えができ、怖さから脱却できるのかもしれません。今回「死」の記事をまとめたことが自分にとっての成長に繋がればなと願います。