『社会参加支援加算』と『事業所評価加算』の届出状況と申請方法

前回の記事に社会参加支援加算と事業所評価加算の対象が逆じゃないか、という件を自分の私見も含めてまとめました。

↓ 以下、ご参考までに。↓

興味がある人は知りたい内容かと思いますが、コアな加算のため、その算定状況は多くはない印象を持っています。今回は届出状況から見る現在の社会参加支援加算と事業所評価加算の注目度をみていきたいと思います。

社会参加支援加算の届出状況

社会参加支援加算の算定要件は以下の3つです。

訪問リハビリテーションにおける社会参加支援加算の届出状況

訪問リハビリテーションにおける社会参加支援加算の届出状況は19.2%となっています。(出典:平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査)5事業所のうち1事業所が算定している現状です。いや~少ないですね。

要介護度による差は少なく約16%の算定率となっています。

(出典:厚生労働省「介護給付費等実態調査」)

社会参加支援加算を届出していない理由(訪問リハ)

訪問リハが社会参加支援加算を届出していない理由は以下のとおりです。

①ゴールが社会参加ではない 40.1

②ADL向上が進まない 28.9

③利用者希望で修了できない 28.1

④家族希望で修了できない 24.3

利用者・家族希望での継続が、社会参加支援加算の取得状況の足かせになっている現状です。社会参加に移行したい厚労省の考え。移行したくなく現サービスを継続したい当事者。理想と現実の乖離を感じます。

通所リハビリテーションにおける社会参加支援加算の届出状況

通所リハビリテーションにおける社会参加支援加算の届出状況は11.4%となっています。訪問リハよりも届出は少ない状況です。

要介護度による差は少なく約7%の算定率となっています。

社会参加支援加算を届出していない理由(通所リハ)

通所リハが社会参加支援加算を届出していない理由は以下のとおりです。

①利用者希望で修了できない 69.8

②家族希望で修了できない 57.5

③ゴールが社会参加ではない 31.2

本人希望・家族希望によって修了できない割合は、訪問リハよりも高くなっています。なかなか終われない通所リハ。訪問リハは修了すると通所リハへ移行できますが、通所リハの修了の移行先は自立した生活のため、なかなか移行できにくいのでしょうか。または自立心が強い欧米と日本の文化の違いなのでしょうか。日本は支えてもらう気持ちが強く、欧米は自分で行いたい気持ちが強い。そのため独りで何かをするというのではなく、サービスに頼りがちになるためでしょうか。

事業所評価加算の申請方法

事業所評価加算の算定要件は以下のつです。

修了した要支援者がその後区分変更して、維持・改善した割合を算定要件にしています。したがって事業所は修了後の後追いができないため、申請した後の維持・改善割合は申請先に委ねる形となります。申請したもののどのような機関で判定されるのか。分かりにくい部分もありますので以下にまとめます。

都道府県・国保連合会・地域包括支援センター。この3機関が情報交換し、対象の事業所の事業所評価加算の認定をジャッジします。数ある事業所のジャッジに関する情報交換は、とても大変な作業かと思われます。現在は要支援者のみが対象ですが、要望資料の中に要介護者も含めてほしいとあります。照合件数が多くなるとその作業時間も増えるため、より大変な作業になりますが、何とか要介護者も含めた維持・改善をアウトカム指標の中に取り入れてほしいものです。

まとめ

届出状況の少なさから、あまり気にされていない社会参加加算。しかし社会参加を重要視する生活期の考えからすると、とても重要な加算であることは間違いありません。また事業所評価加算は、利用者の維持・改善が算定要件となっています。現在は要支援者のみが対象ですが、そもそも状態の維持・改善は要支援者よりも要介護者の方が重要な視点です。照合の労力もあろうかと思いますが、是非、次回介護報酬改定のアウトカム指標に要支援者・要介護者双方を対象としてもらいたいものです。