新型コロナウイルス感染症によって利用者が急減した通所介護サービス等への対応を行うため、令和2年6月1日の事務連絡にて、利用者の同意のもと通所介護サービス等では2区分上位の報酬を時限的に算定できるようになりました。
しかし、このこの臨時特例については
「本来は公費等で支えるべきなのに、利用者に負担増を強いている」 「事業所との関係を慮り、利用者は負担増を断れない」
などの指摘がありました。
そこで令和3年1月18日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、この臨時特例は令和3年3月で廃止することとなりました。
代わりに「3%加算」と「規模区分の特例」という新たな救済処置を打ち出しましたが、まだまだ混乱しているようです。今回はこの新たな救済処置についてまとめていきます。
令和3年4月1日からの新たな救済措置
規模区分の特例
通所系サービスでは利用者数の規模別に基本報酬が設定されています。
上図で示した通り、通常規模型よりも大規模型の方が基本報酬は低く見積もられています。
なぜでしょうか?
その理由としては、大規模の事業所では「事務コストが相対的に小さく経営効率が良いから」とされております。
この大規模型<通常規模型の基本報酬は、今に始まったことではないため、なんとなく一般化されていますが「経営安定化のためには大規模化を推進すべきであり、現行制度はこの推進の動きとは相反している」と指摘され、2024年度の次期改定等で何らかの決着がつくものとされています。
したがって、感染症や災害などで利用者数が急減した場合、現行では、大規模の事業所では低い基本報酬を算定しなければならないこととなり、通常規模型よりも経営状況が厳しくなるのではないかと懸念されています。
そこで2021年度改定で「規模区分の特例」が打ち出されました。その内容は、
小さい規模区分がある大規模型について
事業所規模別の報酬区分決定にあたり
現行の「前年度の平均延べ利用者数」でなく
新たに「延べ利用者数の減が生じた月の実績」を
ベースとすることを認める
つまり
X月 利用者減 X+1月 届け出 X+2月 区分移行での算定開始
これによってより迅速に報酬水準の高い区分に移行できるようになりました
この特例は、通所介護以外の、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護にも適用されます。
3%加算
この3%も救済措置の1つとなっています。
この特例は「延べ利用者数の減が生じた月の実績」が前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合、3か月の間、基本報酬の3%の加算を行うこととされています。
さらに、利用者減に対応するための経営改善に時間を要するなど、特別の事情がある場合には加算算定を6か月まで延長を認めることとされています。
まとめ
「規模区分の特例」と「3%加算」の双方の要件を満たす場合は、「規模区分の特例」を優先し、双方の適用はできないとされています。
また4月からの算定に関しては3月中に申請することとされています。
慌てて申請を急いでいる事業所も多いのではないでしょうか?
頑張れ!事業所!
この双方の救済措置について早くもQ&Aが出ています。
次回はQ&Aについてまとめていきます!