前回はでVISITの負担感をまとめました。自事業所内の書類作成に加えて、VISITへの入力がかなりの負担となっているようです。実際はどの程度、入力に時間がかかっているのでしょうか?また入力時間短縮の方法はあるのでしょうか?今回は「VISIT入力にかかる時間」や「VISITのインポート機能」についてまとめていきます。
利用者1人当たりの入力時間は?
利用者1人当たりの入力時間はどの程度かかっているのでしょうか。初回入力は初期情報の入力等で2回目入力よりも時間はかかるはずです。「初回入力」と「2回目以降入力」に分けてまとめられています。
入力時間に差があるものの初回入力は30分~2時間未満で81.0%となっており、2回目入力は30分未満~1時間未満で92.8%となっています。このデータでは2回目入力で大幅に時間が短縮されているように見えますが、VISITを使わなくても2回目以降は大幅に時間は短縮されます。むしろ初回入力に1時間以上かかっている割合が40.5%もあることと、2回目以降入力が30分以上かかっている割合が37.8%もあることに着目すべきかと思われます。この時間を短縮しなければVISITの発展は、強いては介護部門のデータベース蓄積の発展はないものと考えておいた方が良いかと思われます。
インポート機能の活用
しかしながらVISITの有効機能の1つである「インポート機能」を十分活用できていない現状があることも事実です。インポート機能とは、自事業所が使用している介護ソフトのデータをCSVで出力しVISITに取り込むという機能です。
インポート機能を活用している事業者は26/111で23.4%となっています。4分の3以上の事業所はインポート機能を活用していない状況です。なぜ活用していないのでしょうか?
インポート機能を活用していない理由
インポート機能を活用していないと答えた85事業所の活用していない理由は以下のとおりです。複数選択可となっていますが大きく2つの理由がありそうです。
「使用している介護ソフトがインポート機能に対応していない」45.9%となっています。つまり1つ目の大きな理由は連動システムの問題です。様々な介護ソフトが出回っている現状で、厚労省が推し進めるVISITに移行するためには、システム問題の解決が急務となっています。
次いで「インポート機能の操作方法が分からなかった」31.8%、「インポート機能を知らなかった」20.0%となっています。2つ目の大きな理由は周知の問題です。せっかくVISITを活用しようと思い準備したものの、インポート機能を知らないから活用していないという周知の問題があろうとは。本報告書はこのような問題があることも明らかにしていただいているため、厚労省の周知方法は今後要注目です。
インポート機能活用の有り無しで負担感はどう違うのか?
このようにまだまだ活用できていないインポート機能ですが、活用している26事業所と活用していない85事業所に分けた興味深いデータがあります。当然、効率性を備えているインポート機能を活用している事業所の負担感の方が低いと思いますが、はたして。
あれ?インポート機能活用している事業所がVISIT入力を負担と感じている割合は65.4%に対して、活用していない事業所は52.9%となっています。効率的なインポート機能が効率的と感じられていないということです。
インポート機能活用の有り無しで負担を感じる内容に違いはあるのか?
インポート機能が効率的と感じられていないのには驚きです。それではインポート機能活用の有無によって、負担を感じる理由に違いがあるのかを見ていきます。
大きな違いはないようです。やはりインポート機能を活用していてもVISITへのデータ入力作業を負担と感じているようです。なんとその割合100%。インポート機能そのものをブラッシュアップする必要がありそうです。
インポート機能活用の有り無しで入力時間に違いはあるのか?
インポート機能活用の有無での入力時間の違いを見ていきます。こちらも初回入力と2回目以降入力に分けてまとめられています。
初回入力ではインポート活用の有無による入力時間の差はありませんでした。おおむね30分~2時間未満の範囲内にあります。
2回目以降入力ではどうでしょうか。こちらはインポート機能を活用している方が入力時間は短縮されているようです。インポート機能を活用している事業所は30分未満73.1%に対して、活用していない事業所は30分未満52.9%となっています。初回と2回目以降で30分未満で入力できる割合の変化を見てみると、
インポート活用は初回7.7% ⇒ 2回目以降73.1%
インポート未活用は初回10.6% ⇒ 2回目以降52.9%
このデータからも2回目以降はインポート活用した方が時間短縮につながることが分かります。
まとめ
・インポート機能は厚労省が考えているほど効率的と思われていない。
・インポート機能はシステムの問題と周知の問題を持っている。
・インポート機能は時間短縮につながる可能性はある。
ということでしょう。まだまだ可能性を秘めているインポート機能の発展が待ち遠しいと感じています。次回はインポート機能に続くもう1つの機能「フィードバック機能」についてまとめていきます。