2022年1月26日に中央社会保険医療協議会・総会が開催されました。
その中で2022年度診療報酬改定に向けた「個別改定項目」が提示されました。
いよいよ具体的な個別改定項目が明らかになってきましたね。
今回は「地域包括ケア病棟」について取り上げていきます。
- 地域包括ケア病棟の個別改定項目11のポイント!
- ①地域包括ケア1・2の在宅復帰率要件7割から「●割●分●厘」へ
- ②地域包括ケア3・4は新たに在宅復帰率要件を「●割以上」で追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の●」に減算
- ③地域包括ケア2・4における自院の一般病棟から転棟した患者割合の要件が現在の60%未満から「●%未満」に変更し、クリアできない場合の入院料の減算幅を現在の100分の90から「100分の●」へ
- ④上記③の対象病棟は●床以上●床未満の医療機関に拡大
- ⑤地域包括ケア1・3における自宅等から入院した患者割合の要件が現在の1割5分以上から「●割以上」へ変更し、自宅等からの緊急の入院患者の3月受入れ人数は現在の6人以上から「●人以上」へ
- ⑥地域包括ケア2・4においても自宅等からの受入れ要件等を追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の●」に減算
- ⑦算定要件である在宅医療等の実績について、退院時共同指導料2の算定回数の実績要件に外来在宅共同指導料1の実績を用いてもよいということに拡大
- ⑧地域包括ケア1・2において許可病床数が●床以上の場合には入退院支援加算1の届出を必須とし、クリアできない場合は入院料を「100分の●」に減算
- ⑨一般病床で地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定する場合は、第二次救急医療機関であること、または認定された救急病院であることを要件に追加
- ⑩急性期患者支援病床初期加算及び在宅患者支援病床初期加算の見直し
- ⑪療養病床の地域包括ケア病棟等では入院料を「100分の●」に減算するが、下記の場合は「100分の100」で算定可能
- まとめ
地域包括ケア病棟の個別改定項目11のポイント!
2020年度診療報酬改定でメスが入った地域包括ケア病棟ですが、さらに厳しい改定となりそうです。
恐ろしいですねー!
「地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料」の個別改定項目を以下にまとめました。
黒抜きで点数の部分は明らかにされていませんが、今後明らかにされる数字によっては非常に厳しいと言わざるを得ない個別改定内容となっています。
全部で11項目です。
1つずつまとめていきます!
①地域包括ケア1・2の在宅復帰率要件7割から「●割●分●厘」へ
②地域包括ケア3・4は新たに在宅復帰率要件を「●割以上」で追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の●」に減算
まさかの在宅復帰率●割●分●厘!
ここまで細かく設定する必要があるのでしょうか?
あるとすれば7割超え!
現役時代打率4割目前だったイチロー氏もビックリです!
③地域包括ケア2・4における自院の一般病棟から転棟した患者割合の要件が現在の60%未満から「●%未満」に変更し、クリアできない場合の入院料の減算幅を現在の100分の90から「100分の●」へ
④上記③の対象病棟は●床以上●床未満の医療機関に拡大
これは自院の一般病棟からの転棟割合が高いことに対するメスです。
皮肉的な言い方ですが、地域包括ケア病棟ではなく、自院包括ケア病棟になってしまっている、と厚労省は考えているようですね。
その結果、今回の改定では自院からの転棟割合は50%未満。
クリアできない場合の所定点数は100分の80。
上記のような設定になるのではないかと思います。
もしかしたら一気に100分の60なんて数値もありそうですね。
⑤地域包括ケア1・3における自宅等から入院した患者割合の要件が現在の1割5分以上から「●割以上」へ変更し、自宅等からの緊急の入院患者の3月受入れ人数は現在の6人以上から「●人以上」へ
⑥地域包括ケア2・4においても自宅等からの受入れ要件等を追加し、クリアできない場合は入院料を「100分の●」に減算
これはあくまでも地域包括ケア病棟という名称のとおりに、地域における、とりわけ自宅等からの受け入れ病棟としての機能を保ちましょうというメッセージです。
救急を受け入れず、自院の一般病棟からの受け入れに終始している、都合の良い病棟になってしまっていることに対するメスです。
クリアしない場合は地域包括ケア2・4においても100分の●に減算される見込みです。
⑦算定要件である在宅医療等の実績について、退院時共同指導料2の算定回数の実績要件に外来在宅共同指導料1の実績を用いてもよいということに拡大
これはメスではなく条件緩和ですね。
⑧地域包括ケア1・2において許可病床数が●床以上の場合には入退院支援加算1の届出を必須とし、クリアできない場合は入院料を「100分の●」に減算
これは入退院支援を重要視しているというメッセージですね。
在宅復帰率も高まる可能性がありますし、自宅等からの受け入れも増える予定ですので、入退院に関する機能の強化を図ってくださいということですね。
⑨一般病床で地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定する場合は、第二次救急医療機関であること、または認定された救急病院であることを要件に追加
これは救急医療体制が取れていない地域包括ケア病棟に対するメスですね。
※ただし●床未満の保険医療機関は救急外来を有していること、または24時間の救急医療提供を行っていることで要件を満たすこととする
⑩急性期患者支援病床初期加算及び在宅患者支援病床初期加算の見直し
- 転棟元が特別の関係にあるか否か※許可病床●床以上●床未満と組み合わせて評価
- 介護老人保健施設から入院した患者か否か
- 介護医療院や特別養護老人ホーム等から入院した患者か否か
上記3点で判断するように評価が見直される見込みです。
これは転棟元との関係性にメスが入りました。
これも過去のデータで介護老人保健施設から入棟した患者の重症度が高いというデータが示されていましたので、地域の中で重症患者を受け入れていきましょうというメッセージですね。
⑪療養病床の地域包括ケア病棟等では入院料を「100分の●」に減算するが、下記の場合は「100分の100」で算定可能
一般病床と療養病床に強弱をつけた内容となっています。
厚労省としては一般病床を優遇しているというよりも、本来の機能を満たしていない療養病床の地域包括ケア病棟にメスが入った形です。
しかし、以下に該当する場合は療養病床であっても100分の100の算定が認められており、病床区分ではなく機能重視の改定となっており好感が持てます。
1.自宅等からの入院受入れ割合が「●割以上」 2.自宅等からの緊急入院患者の受入実績前三月で●人以上 3.救急医療体制が整備されている
まとめ
支払側の健康保険組合連合会理事である松本真人委員は、このような個別改定項目について「自院の一般病棟からの転棟患者などでは状態が安定し、医療資源投入量が低いことに着目した見直しであり、いずれも妥当である」と歓迎しています。
これに対し診療側の日本医師会常任理事である城守国斗委員は「要件等を過度に厳しくすれば、地域包括ケア病棟創設の目的の1つの入院料機能の機能分化を阻害しかねない。中小規模病院の地域包括ケア病棟の運用等が阻害されないように配慮が必要である」と述べています。
診療側の求める配慮は叶わず、おそらく黒丸も厳しい数字が入ってくるのではないでしょうか?
頑張れ!地域包括ケア病棟!