令和3年2月19日に厚生労働省は「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用等について、各都道府県介護保険主管課宛てに以下の3点について事務連絡を通知しました。
①算定要件に含まれる加算について ②加算の算定に必要な対応等について ③LIFEの機能全般に関するご質問について
今回の通知に関する資料は、公益社団法人全国老人保健施設協会のホームページに掲示されています。
LIFEとは
科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence; LIFE ライフ)のことを言います。このLIFEは科学的介護の理解と浸透を図る観点から一体的な運用を目指すために命名されました。
一体的な運用とは、平成28年度より運用された通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)と令和2年5月より運用された高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)の一体化を指します。
まずVISITって何?CHASEって何?と思われている方も多いのではないでしょうか。実際に両システムを運用している事業所はほぼなく、十分機能しているとは言い難い状況です。今回の介護報酬改定で大きく報酬増することで、活用する事業所が増えるのではないかと期待していましたが、わずかばかりの報酬増でした。
まだまだ活用しきれていないVISITとCHASEであるため、新たにLIFEと名称を定めてもピンとこない人が多いのが現状かと思われます。
LIFEっていうネーミングは、これまでの厚労省の堅いネーミングから考えると、ボキャブラリーのあるネーミングかと感じ、個人的には好感触を得ました。ただ、LIFEっていう文字がLINEに見えてしまうのは私だけでしょうか。
LIFE の活用等が算定要件に含まれる加算について
令和3年度介護報酬改定において、科学的介護推進加算を始めとし、LIFE の活用等が要件に含まれる加算が設けられます。以下が含まれる加算となっています。「施設系サービス」と「通所・居住・多機能系サービス」に分けられています。
まず一番左に記載されている科学的介護推進加算についてみていきます。本加算は令和3年度の介護報酬改定で新設される加算です。
「施設系サービス」と「通所・居住・多機能系サービス」問わず、ほぼ全てのサービスで算定可能な加算となっています。(訪問リハビリテーション以外)
登録100名で計算すると、月40,000円、年間約50万円の増収となります。
もう1つ新設される加算として自立支援促進加算があります。本加算は施設系サービスのみが算定可能となっています。
全ての入所者に対して定期的に医学的評価が必要となり、その見直しは少なくとも六月に一回とされています。また三月に一回の支援計画の見直しも必要となるため労力はさかれますが、入所100名で計算すると月に300,000円、年間3,600,000円の大きな増収となります。※入所者毎に算定可で計算
単位数が見直されましたが、算定期間が延びた加算もあります。褥瘡マネジメント加算と排せつ支援加算です。
まとめ
DPC病院や回復期リハ病院までデータ提出の波は広がりました。そしてこれからは介護部門もビッグデータを集め、効果的・効率的なサービス提供につなげていく地盤固めの時代に入ってきました。このようなデータ提出に関する加算は、いずれ基本報酬に組み込まれていくと考えれば、多少の旨味があるうちに取り掛かった方が良さそうですね。
介護報酬改定の前に診療報酬&介護報酬の復習を兼ねて勉強します。