今回は算定率わずか3%の生活機能向上連携加算の謎について、算定できない理由を含めて探っていきたいと思います。
介護給付費分科会で出された生活機能向上連携加算の課題は?
介護給付費分科会で以下のような課題がまとめられました。
算定できない理由として、外部の事業所と連携が難しい、かかるコスト・手間>収入等が挙げられています。やはり収入増に旨味があると算定率は上がるのでしょうか?
加算を算定していない理由は?
加算を算定していない理由を「通所介護」「訪問介護」2つのサービス種別でみていきます。
算定していない理由(通所介護)
1位 外部のリハ事業所等との連携困難
36.7%
2位 かかるコスト・手間>収入
35.9%
算定していない理由(訪問介護)
1位 算定に取り組む余裕がない
37.5%
2位 加算適用を必要とする利用者なし
2位 外部のリハ事業所等との連携困難
28.1%
連携先は同一法人か否か?
算定できない理由を連携先の視点からみていきます。連携先が同一法人の方が、連携が取りやすい気がしますがどうでしょうか。
やはり連携先は、同一法人が53.5%。同じグループの別法人が21.2%。どちらも同じグループですので、合算すると74.7%にも及びます。やはり同じグループが強いのか。
連携先の職種は?
理学療法士 74.7%
作業療法士 25.0%
圧倒的に連携職種は理学療法士となっています。
外部施設へ派遣できない理由
圧倒的に多い理学療法士ですが、あくまでも割合の話しであって、総数としては極めて少ない状況です。その理由として日本理学療法士協会は、以下のような調査結果をまとめています。
外部派遣できるマンパワーが足りないという理由が最多となっています。次いで契約の問題が挙がっています。
連携頻度は?
連携頻度はどの程度なのでしょうか?
月2回以上連携していると回答したのは
通所介護41.7%
訪問介護15.6%
全体的に通所介護の方が連携頻度は多いようです。
同一法人と別法人には意外な差があった!
同一法人の方が連携が取りやすいと思っていました。しかし実際はその逆。
連携する上で困難であった理由
「連携頻度の調整」
同一法人42.5%
別法人25.2%
別法人の方が連携頻度の調整が難しいと思っている割合は低かったのです。
「連携の課題はない」
同一法人24.6%
別法人31.9%
別法人の方が連携の課題はないと思っている割合は高かったのです。
あれ?
別法人の方が連携取りやすいの?
まとめ
加算を算定できない理由はそれぞれありますが、最も重要なポイントは本加算の趣旨を十分にとらえきれていないという認識であると考えます。本加算を言い換えると、「理学療法士等を自事業所で配置する個別機能訓練加算を外付けにした形」この外付けをなぜ厚労省は認めたのか。外付けにすることでのメリット。この辺りを捉えると趣旨が見えてくるのではないでしょうか。しかしながら「生活機能向上」「連携」このパワーワードを含んでいる本加算は、上手く活用していって欲しいものです。