回リハ協会が機関誌で示した2020年度予想は当たるのか?~回リハ機関誌資料から~その⑦

回リハ機関誌を読み進めるシリーズ⑦。今回がラストとなります。回リハ協会は回リハ機関誌で2020年度の予想を示しています。その中身はどのようなものなのか?また当たるのか?読み進めていきます。

回リハ機関誌の2020年度予想

回リハ機関誌は文末に2020年度の予想をまとめています。文章で記載されているものを簡潔に以下に記載いたします。

そして回リハ協会の予想が当たるのか、私見をまとめたものが以下になります。

①脳卒中割合↑ 予想が外れる可能性+

2020改定で回リハ対象疾患の要件から発症からの期間が撤廃されました。これを受けて難渋脳血管疾患の割合が増えると予測されています。

たしかに難渋脳血管疾患の患者の間口が広がった感はありますが、同時に廃用症候群の間口も広がっていますので、相対的に脳血管疾患の大幅な割合増は可能性は低いのではないかと思われます。どちらかというと起算日の曖昧な廃用症候群の方が、発症からの期間が撤廃されたことの恩恵を受ける可能性はあるのではないでしょうか。

②病床利用率↑ 予想が外れる可能性+

①の発症からの期間の撤廃を受けて病床利用率は上がると回リハ機関誌は予測しています。しかし新型コロナウイルス感染症の影響で回リハの病床利用率は過去最低をたたき出す可能性大です。

③発症~転院日数↑ 予想が外れる可能性+

発症から回リハへの転院にかかる日数も①の発症からの期間撤廃を受けて延びると回リハ機関誌では予想されています。しかし②の新型コロナウイルス感染症の影響で空床が目立つ回リハは、紹介があればすぐに入院できる体制が整っていますので、発症~転院までの日数は下がる可能性も考えられます。

④実績指数40の影響軽微 予想が外れる可能性+

回リハ機関誌は実績指数40の影響は軽微と予想しています。実績指数はご周知のとおりFIM利得在院日数で算出されます。②で記載したように2020年は病床利用率が下がる可能性大です。病院によっては80%台前半も有り得るのではないかと思われます。そのような中で病院経営の主収入としての回リハ入院料を死守するためにも在院日数は延びることが予測されます。

病院も生き残ることに必死のため退院日をコントロールするでしょう。本来は医療の本質からはズレている考えですが、生き残りを考えて在院日数をコントロールしてくると思われます。

実績指数は在院日数によって大きく左右されますので、実績指数40という壁の影響は軽微と呼べるものではなくなりそうです。

⑤摂食嚥下障害への活動↑ 予想が外れる可能性+

2020診療報酬改定では摂食機能療法の加算を含めた改定が示されました。しかしながらVF・VEの検査が月1回必須となっている以上積極的に加算を算定しようとする病院は増えていかないものと思われます。

摂食嚥下チームの活動は増加していく可能性はありますが、加算の算定を摂食嚥下障害への活動増加として捉えた時は予想が外れる可能性は大です。

⑥急性期からの早期受け入れ↑ 予想が当たる可能性+

病床利用率低下の可能性が高いため、急性期からの受け入れは早くなると予想されます。

⑦リハケアの充実・工夫↑ 予想が当たる可能性+

実績指数40をクリアするため、在院日数が短縮できない2020年を乗り越えるにはFIM利得の向上が重要となってきます。そのような中では現場の看護師・リハビリスタッフ等が今まで以上に協力し合ってリハケアの充実・工夫を実践していくと思われます。

新型コロナウイルス感染症の影響は悪いものばかりではないですね。

⑧第3者評価の利用↑ 予想が外れる可能性+

新型コロナウイルス感染症の影響で病院機能評価機構自体の受審機能がストップしています。2020年に受審を予定していた病院も新型コロナウイルス感染症の影響で準備がままならないことでしょう。したがって、2020年の第3者評価の利用が急激に増えることはないでしょう。

まとめ

回リハ機関誌を読み進めていくシリーズは以上で終わります。

7回シリーズのため全て見ていただけると回リハ機関誌の全体が分かると思います。回リハ機関誌の2020年予想は新型コロナウイルス感染症の影響で8分の2程度しか予想通りにいかないものと思われますが、オンラインの有効活用感染症に対する意識向上等医療人にとっては新たに学ぶものが少なからずあるようです。

新型コロナウイルス感染症に負けずに

頑張れ!医療従事者!

頑張れ!回リハスタッフ!