回リハ機関誌を読み進めるシリーズ⑥。回リハ協会が進めていきたい第3者機関からの認定について触れていきます。
その他の実態を見てみる
入院料の算定要件は実績指数をクリアすることだけではなく、今後新たな要件を追加してくることが予測されます。現在は「加算」となっているものも数年後には算定要件に組み込まれるなんてこともありますので、ここで触れておきます。
旧:経口摂取回復促進加算の実態
回リハ機関誌によると2019年回リハ協会実態調査で明らかになった驚愕のデータがあります。それが旧:経口摂取回復促進加算の算定割合です。
なんと847病院中4.4%しか算定していない加算となっています。2020改定で名称を「摂食嚥下支援加算」となりリニューアルされましたが、さほどのインパクトはなく、算定割合が大幅に増加するとは言い難い内容です。
VE・VFを月1回以上という算定要件を必要時に変更されればお大幅に増加すると思いますが。
日本医療機能評価機構認定病院の実態
数年前から噂されている第3者機構の認定を算定要件に入れるのでは、という参考資料が以下の通りです。
回リハ協会2019年実態調査ではアンケート協力病院のうち約半数が本体認定を受審しているという結果となっています。また付加機能認定も年々増加しています。
機能評価認定ありなしで何が違うのか検証
回リハ協会は機能評価認定を推し進めていきたいという方針があるのでしょうか。
下記のような比較を出しています。
青:認定なし
赤:本体のみ認定
緑:本体+付加認定
一つずつ見ていきます。
入院時FIM(運動項目)
入院時FIM(運動項目)の点数が下がっていない状況を100%で表示しています。
本体なし:94% 本体のみ:96%
ちゃんと第3者認定を受審し付加機能まで認定されている施設は入院時FIM点数のダウンコーティングをしていませんよ、ということですかね。
退院時FIM(運動項目)
退院時FIM(運動項目)はどうでしょうか。
認定なしは100%
本体のみは101%
本体+認定は103%
第3者認定を受けた施設は高い回復が見込めますということですかね。
入院期間
入院期間(在院日数)はどうでしょうか。
全てにおいて日数短縮(90%台)となっております。その中でも本体+付加は92%となっています。第3者認定を受けた施設は早い回復が見込めますよということですかね。
「認定なし」を見てみる
認定なしのみにフォーカスします。
入院時FIMが低く
入院期間が短い
ことで実績指数は120%となっています。
「本体+付加認定」を見てみる
本体+付加認定にフォーカスします。
入院時は変化せず(入院時M-FIM)
退院時は高い回復(退院時M-FIM)
入院期間は短く早い回復(入院期間)
より高くより早いという本来あるべき姿によって実績指数は126%となっています。
第3者機関の認定の是非について
個人的には第3者認定の直接的なおかげではなく、第3者認定を受けようとする施設は普段の病院経営・治療において意識が高い状態であるからだと考えています。結果、そのような病院が第3者認定を受けるから上記のようなデータが示されるかと捉えています。
第3者認定を受けていない施設でも上記以上のデータを示している施設はたくさん知っていますので、回リハ協会がこのデータをもって第3者機関の認定を推し進めることにはいささか疑問を感じています。
しかしながら、第3者機関の認定は自団体のみで運営していくことの危険性を鑑みると必須と考えています。外の風を入れることはどの団体にとっても必要なことかと思います。