回リハ機関誌シリーズ④『過去の推移から見る危険な回リハ』
回リハ機関誌が示した過去の実績推移を見ていきます。
過去の実績推移から分かること
回リハ機関誌を読み進めていくと、2015年~2019年の推移が下図のようにまとめられています。
「在院日数」「入院時FIM」「FIM利得」「実績指数」等ありますが、一つ一つ見ていきます。
在院日数
在院日数を見ていくと、2016年・2018年で在院日数が短縮されていることが分かります。
2016年 3.3日短縮
2018年 3.0日短縮
診療報酬改定年度は在院日数が短縮される傾向にあるようです。2016年は実績指数導入、2018年は実績指数の上方修正がなされた年ですので、各病院在院日数を短縮することで実績指数に対応していたことが分かります。厚労省の思惑通りに事が進んでいますね。
入院時FIM(運動項目)
入院時FIMを見ていきます。在院日数同様に2016年・2018年に減少が見られています。
在院日数でも述べたように実績指数に対応するための減少と回リハ機関誌は危惧しています。在院日数だけでは対応が難しいため、入院時のFIM点数をダウンコーティングしてFIM利得を上げようとしている結果と推測できると回リハ機関誌は警鐘を鳴らしています。
FIM利得(運動項目)
入院時FIMの点数が下がった結果、FIM利得は以下のようになっています。
2016年 4点増加
2017年 1点増加
2018年 3点増加
2019年 0点
明らかに改定年度の増加が顕著です。
実績指数
在院日数とFIMの結果を受けて実績指数はどのように推移していったのかは下図のとおりです。
2016年 30.4(7増加)
2017年 32.1(1.7増加)
2018年 37.5(5.4増加)
2019年 37.6(0.1増加)
こうも改定年度のたびに顕著であれば、回リハ機関誌も厚労省も警鐘を鳴らしたいと思うのは必然かと思われます。
過去の実績推移を見ての私見
しかし私は肯定的に捉えています。今までの診療報酬改定の歴史からも様々な加算も数年すれば要件化されるように結果的に改定によって医療の質は向上し、病院が変化せざるを得ない流れに持っていかれているという過去の事実があります。変容するためには、多少は診療報酬改定によって導かれるということも許容しないといけないと思うからです。だからといって意図的なダウンコーティングまでは肯定していませんので、誠実な医療を心掛けていただきたいと思っています。