2020改定で回リハ病棟の重症度設定は、日常生活機能評価点数もしくはFIM総点で示しても良いとされました。今回はFIMを用いた場合の重症度の境界点数を見ていきます。
入院時日常生活機能評価とFIM総点の関係性を考える
入院時日常生活機能評価とFIMの関係性をクロス図から回リハ機関誌は示しています。
FIMの重症度判定55点は妥当なのか?
下の図をご覧ください。
縦軸が入院時FIMの総点数。
横軸が入院時日常生活機能評価の点数。
となっています。丸で囲った部分が疑義部分です。
入院時日常生活機能評価9点の方の入院時FIM総点の平均点は57点となっています。
9→57
同じように見ていくと
10→56
11→45
あれ?
重症度が9点から10点に重くなっているのにFIMは57点と56点でほぼ同じ。10点から11点の場合は、FIMも56点から45点と重症度が増しています。9点‐10点と10点‐11点の両間では明らかにFIMの点数変化との乖離が見られます。下記の図であれば信憑性があるのですが。
日常生活機能評価10点の方のFIMが51点であれば、日常生活機能評価とFIMが同じような変化となるため信憑性を示すことができます。しかしながら2020改定でのFIMによる重症度の境界点数は55点でした。
本来、高い信憑性を示すのであれば51点が妥当な点数であったのですが結果は55点。FIMによる重症度判定は4点程度緩い設定とされました。たかが4点。されど4点。
FIMの重症度回復16点は妥当なのか?
回復期入院料には重症度回復率も算定要件に入っています。従来は3割以上の患者が日常生活機能評価点数が4点以上改善(点数が低くなること)しなくてはいけませんでした。(※入院料1・2)
2020改定で重症度回復率にもFIM利得を用いても良いとされました。日常生活機能評価の4点以上改善に対してFIMは16点以上改善すれば重症からの回復と見なすことなりました。はたしてこの16点は妥当なのでしょうか?
日常生活機能評価4点改善した方のFIM利得の平均は18点改善となっています。しかし2020改定では、FIMは16点改善で良いとされたことからも緩い設定となったことが分かります。たかが2点。されど2点。
重症度にFIMを用いる可能性
正式な回答ではないですが、厚労省は重症度を示す指標は日常生活機能評価・FIMのどちらかを半年程度は継続してほしいと言われています。毎月変わるのではなく一定程度はどちらかでと言うことです。一定程度とは半年以上となっています。正式の回答ではありません。口頭でのやり取りの記録が残されている程度です。
回復期対象となる疾患の発症からの期間が撤廃になったことから
・医療依存度の高い患者が多くなるのか
・病態が安定した患者が多くなるのか
によって、日常生活機能評価が重症度指標に適しているのか、FIMが適しているのかが決まってくると思います。現在各病院で模索している状況でしょう。しかしながらおそらく、今までの日常生活機能評価で示していくを選んだ病院が多いかと予測しています。結果は年度末の回リハ病棟の実態調査で明らかになるでしょう。