2段階から3段階になった認知症ケア加算。疑義解釈で気になった点をまとめます。疑義解釈に行く前に、なぜ2段階から3段階に変わったのでしょうか。簡単にまとめていきます。
認知症ケア加算の流れを知る
3段階にするよりも対象の拡大を!
これから示す資料は、中央社会保険医療協議会 総会(第434回)議事次第 個別事項その⑩を参考に加工したものです。
2016診療報酬改定で新設された認知症ケア加算は、高齢化の進展に伴い、急性期病棟をはじめ入院患者全般に認知症高齢者が増加してきたことを受け、認知症高齢者に適切な処遇を行う目的で新設されました。当然コストがつきましたが、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅢ以上の患者(重度の意識障害のある者を除く)のみが対象の加算です。
上図の赤枠で囲まれた部分が加算対象ですが、青色の部分の方も十分な認知症ケアが必要だと思うのは私だけではないはずです。
【青色の部分】
・たびたび道に迷う
・買い物や金銭管理でミスが目立つ
・服薬管理ができない
・一人で留守番ができない
上記のような症状が出ている方は、十分に認知症ケアが必要な状況です。3段階にするよりも対象の拡大をして欲しかったですね。
認知症ケア加算の届出推移は?
2016年(H28)新設された本加算の届出推移を以下に示します。
2018年7月1日時点での認知症ケア加算1の届出は517施設。2016年から2.88倍に増加。
認知症ケア加算2の届出は2,816施設。2016年から8.75倍に増加。
増加はしているものの、明らかに認知症ケア加算1の届出は少ない現状となっております。次に入院料別の届出状況を見ていきます。
届出が少ない認知症ケア加算1ですが、急性期一般入院料1、特定機能病院入院基本料を算定している病院は、比較的認知症ケア加算1を多く届出している状況のようです。
なぜ少ない認知症ケア加算1
なぜ認知症ケア加算Ⅰを算定している病院は少ないのでしょうか。認知症ケア加算1の算定要件の一部を以下に示します。
職員の配置に①医師 ②看護師 ③社会福祉士or精神保健福祉士 の要件があります。①②では人材不足が叫ばれています。次の資料をご覧ください。
特に①該当する医師がいないことが、認知症ケア加算1の届出が少ない理由です。前述の急性期一般入院料1と特定機能病院入院基本料を算定している病院は該当する医師がいるのでしょうね。
2段階から3段階に変更した理由を知る
医師がいないだけで看護師はいる!
認知症ケア加算2を届出している施設は、認知症に関する専門性の高い看護師の配置は要件とされていません。
認知症ケア加算1 看護師600時間以上の研修
認知症ケア加算2 看護師9時間以上の研修
しかしながら次の資料をご覧ください。
認知症ケア加算2の届出施設でも、専門性の高い看護師を配置していることが分かりました。
そこで3段階に編成の動きに追い風が
元々2段階の振り幅が大きいとされていた中で、従来の認知症ケア加算1は要件緩和で点数増!従来の認知症ケア加算2は認知症ケア加算3で点数増!従来の1と2の間に新しい認知症ケア加算2が新設!という動きになりました。
専門性の高い看護師の配置を行っていたから新設されたといっても良いでしょう!
さすが看護師!さすが看護協会!
まとめ
認知症ケア加算の流れや3段階になった経緯などをまとめていたら、文字数が多くなってしまったので、疑義解釈の部分は分けて記載します。お時間ご興味があればそちらもご覧ください。