2021年7月8日(木)に中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」が開催されました。
その中で、回復期リハビリテーション病棟入院料の対象に心疾患を追加できないか検討する方針が示されました。
慢性心不全は日常生活から改善しなければ、治療-悪化の循環を繰り返すことが指摘され、リハビリテーションによる運動習慣が重要視されています。
また、6月16日の会合で厚生労働省は「慢性心不全をはじめ心疾患に対するリハビリのニーズも多くある」と明言され、より一層回復期リハビリテーション病棟での心大血管リハビリテーションが注目されています。
では現在の回リハ病棟の現状を見ていきます。
回リハ病棟で心大血管リハはどの程度届出されているのか?
ご存知のように回リハ病棟は
□急性期病院の中に回リハ病棟を保有しているケース □全病棟回リハ病棟のケース
大きく2つに分類されるかと思います。
では回リハ病棟で心大血管リハ料を届け出ている病棟はどの程度あるのでしょうか?
回リハ入院料1・・・約22%(N=197)
回リハ入院料2・・・約28%(N=32)
回リハ入院料3・・・約20%(N=75)
5病院に1病院が心大血管を算定している結果となりました。
おそらくN数が少ないため、この結果よりも心大血管リハ料の届出をしている病院は少ないことが予想されます。
また届出している病院も回リハ病棟ではなく、一般病棟で心大血管リハを実施しているケースが多いのではないでしょうか?
中には一般病棟ではなく外来リハで心大血管を算定するために届出をしている病院もあろうかと思います。
いずれにしても回リハ病棟での心大血管リハの実情は、この約20%の届出状況よりも低い状況であることが予想されます。
心臓リハビリテーションの効果について
中医協の参考資料に以下のような報告が挙がっております。
N=30 平均41.1日心リハ実施
入院時FIM101.7点→退院時FIM114.0点 FIM利得12.3点。
もし回リハ病棟に心大血管対象疾患が認められ
算定上限日数90日の場合であれば
実績指数 12.3点÷(41.1日÷90日)=26.9
算定上限日数60日の場合であれば
実績指数 12.3点÷(41.1日÷60日)=18.0
となります。
入院時FIM点数が高い心大血管対象患者は天井効果によって実績指数は低値となります。
別の報告も報告されているので参考までに載せておきます。
やはりFIM利得は低値となっています。
入院時FIMが高い方は実績指数の計算から除外できるものの、3割までという縛りから考えると苦労するのではないでしょうか?
論点
このようなデータを基に論点として以下の内容が挙げられています。
回リハ病棟で心リハを実施する4つの壁
回リハ病棟に心大血管対象患者が対象になってくるのか?
もしなった場合の「壁」を4点からまとめました。
まとめ
行き場のない心疾患患者のリハビリテーションに一筋の光が見えてきたものの、実際に心大血管リハを算定していこうとする回リハ病棟は少ないことが予想されます。
医師の要件をさらに緩和したり、高額な機器を揃えなくても算定出来たり、融通を効かせていかないと心大血管リハは流行っていかないのではないかと危惧しております。