第190回社保審ー介護給付費分科会が令和2年10月30日に開催されました。今回は「令和3年度介護報酬改定に向けた各種調査の公表について」以下の3点からまとめられています。
①介護事業経営実態調査
②新型コロナウイルス感染症による介護サービス事業所等の経営への影響
③介護従事者処遇状況等調査
今回はその中から②新型コロナウイルス感染症による介護サービス事業所等の経営への影響について読み進めていこうと思います。
収支状況
令和2年5月時点で新型コロナウイルス感染症の流行前と比較して、収支状況が「悪くなった」と回答した事業所は47.5%となっています。令和2年10月時点では「悪くなった」と回答した事業所は32.7%と減少しています。数字的には良くなっているように見えますが、いまだに3分の1の事業所は収支が悪くなったと回答している事実は深刻かと思われます。収支状況が悪くなったと回答した事業所は通所系サービスで高い傾向にあります。
特に4月・5月は保険給付額も1事業所当たりの利用者数も、前年同月比を大きく下回っています。
支出状況
一方、支出はどうなっているのでしょうか。令和2年5月時点では流行前と比較して支出が「増えている」と回答した事業所割合は54.7%となっています。10月時点では53.3%となっており著変ありません。支出の大部分は「保健衛生費」が該当し、主にマスク・手袋等の購入負担が増えているようです。収入は多少持ち直しても、感染防止対策としての負担は変わりがないということを示しています。
2区分上位特例適用事業所は?
このような厳しい収支状況の中、新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の臨時的な取扱いについて第12報で、2区分上位の報酬を特例で算定できるようになりました。算定に関しては細かい条件がありますので、こちらの記事からご確認ください。
この特例は事業者にとっては嬉しい特例ですが、利用者にとっては新型コロナウイルス感染症の影響を自分の財布から出さなければいけないという点で、賛否のある特例となっています。では、この特例を適用した事業所はどの程度あるのでしょうか?
調査対象8,000事業所のうちの1,788(約20%)の無作為抽出の有効回答の結果、2区分上位特例を適用した事業所は50.6%でした。THE微妙!半数の事業所は適用していないという、まさにトランプVSバイデン状態です。
また適用した事業所で見てみると、利用登録者の79.3%が適用されており、5人に1人は適用されていない事業者内での乖離も見られています。
まとめ
2区分上位の介護報酬の算定は、事業者目線で考案された特例でありますが、負担の一部を利用者からとるという点においては、完全な納得を得られているわけではありません。同じサービスを受けながらも利用者への負担がのしかかっている状態です。しかしながら、事業者側も新型コロナウイルス感染症対策のための支出が増えているだけに、何とも言えない状況も理解できます。事業者にも利用者にもあたたかい特例であれば良いのですが、財源確保は難しいものですね。早く新型コロナウイルス感染症の影響がなくなり、通常の笑顔が戻ることを祈っています。
頑張れ!介護サービス事業所!
頑張れ!介護サービス利用者!