職場の決まり事はなぜ守られないのか?

「決まり事を守らないスタッフにイライラする!」この悩みは仕事で管理する役割の方が、カウンセリングに来られた時に高頻度で話される内容の1つです。イライラせずに仕事をしたいけれども、決まり事を守らないスタッフに対して、なぜ守らないのか理解できず、何度も注意するたびにイライラがつのってくるようです。なぜ職場の決まりごとを守らないのか。今回はこの「決まり事」について考えてみました。

決まり事の種類

決まり事は職場の統制のためには必要不可欠なものです。どんなにアットホームな職場であっても決まり事の1つや2つはあるものです。「私の職場は自由です。」という職場でさえ、決まり事を作らないという決まり事を作っています。

では、自分の職場の決まり事を数えてみたことはあるでしょうか。「大小合わせると、数えきれない程あります。」っていう方が多いのではないでしょうか。ここに重要な点が隠されています。「大小合わせると」という言葉がキーポイントなんです。決まり事には大小あり、「運営上必ず守らなければならないもの」と、「守らなくても運営できるが守ってほしいもの」の2種類があります。「絶対的決まり事」「期待的決まり事」と言い換えることもできます。

決まり事を守らない風土が根付いた職場で起こること

決まり事を守らない風土が根付いた職場では、「絶対的決まり事」と「期待的決まり事」の区別がなされていないことが多い場合があります。そのため、人が記憶し理解できる数よりも、決まり事の数が多くなってしまうという物理的な問題が生じてしまいます。また、決まり事の数が多くなればなるほど、職場の締め付け感は強くなります。そのような状況では、決まり事に対して反発する気持ちも強くなっていくことでしょう。中には敢えて守らない人も出てくるかもしれません。

職場の風土を改善するには

まずは決まり事の整理をすることが重要かと思います。決まり事は絶対的なものに限るという姿勢を示すことです。守らなくても支障がないものまで決まり事にしているならば、思い切って決まり事の枠から外すことも検討するということです。決まり事はみんなの自由を束縛するものではなく、みんなの自由を保障するものであるべきかと考えます。伝え方としては「この部分は絶対的に守らないといけないけど、それ以外は自由にやってもいいよ。」と自由を保障するための決まり事として認識してもらうことです。ストレスの感じ方をコントロールするものとして、「自由度」「裁量権」があると言われています。自分の仕事にどの程度自由度と裁量権があるかによって、ストレスの感じ方が変わります。決まり事を束縛と捉えずに自由度として捉えることで、職場の風土は良いものになるでしょう。

職場の良い風土を根付かせるには

職場のスタッフ全員に決まり事を守ってほしいと思った時に重要な指標となるものに「納得感」が挙げられます。その決まり事に対する納得感があるほど、その決まり事は職場の風土として根付いていきます。納得感を得るためには、十分な説明と理解が必要になります。

相手が納得できる言葉で十分に説明し、相手がそのことを取り入れようと咀嚼し、飲み込み、栄養として自分の中に取り込んで初めて風土として根付いていくのです。そう、まさに風土とは食べ物のようなものです。風土は食べ物風土はfood。ふうどはフード。お後がよろしいようで。