ピーター・F・ドラッカーを疑え!

マネジメントと言えば「ドラッカー」と答える人も多いのではないでしょうか?私もピーター・F・ドラッカーの著書をいくつか読ませていただきました。多くの面で勉強になったと思っています。ドラッカーファンの1人です。今回はそのドラッカーの考えをあえて否定的な側面で見ていきたいと思います。何でも「とらわれ」は危険ですからね。

ドラッカーとは

あまりにも先を見据えた思想や考えは時代に受け入れられないこともある中、2000年を過ぎた頃からドラッカーが注目されるようになりました。

ドラッカーは1909-2005 95歳で死去されています。日本では岩崎夏海氏『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(通称もしドラ)ドラッカーブームに火がつきました。

ドラッカーの組織論を疑え!

戦略と組織の関係性

ドラッカーは組織の構造を以下のように言っています。

「組織構造は組織が目的を達成するための手段」

そして組織構造に取り組むには目的と戦略から入らなければならないとしています。

いやー難しいですね。ドラッカーと同じような考え方からみていきましょう。

組織は戦略に従う

同じような考え方で、アルフレッド・D・チャンドラー

「組織は戦略に従う」

と提唱しています。

著書「Strategy and Structure」の序文に

過去の歴史から組織のマネジメントに当たる人々は
大きな危機に直面しないかぎり
日々の業務の進め方や権限の所在を変えることはまずない。

と記されています。戦略によって組織が変わっていくのだという考え方です。戦略とは目的達成のための計画から実行までのプロセスのことを指します。

目的を達成するための戦略は、経営資源(人・物・金・情報)最適に活用できるように配分することが重要です。また足りない経営資源を補ったりすることも含まれます。適材適所も同じような考え方の一つです。

戦略は組織に従う

一方、180度異なる考え方もあります。イゴール・アンゾフは著書「戦略経営論」

「戦略は組織に従う」Strategy follows structure

と提唱しています。先ほどのチャンドラーやドラッカーの考え方に反するものであったのですが、アンゾフはチャンドラーやドラッカーらの業績に敬意を示しつつ、組織学習と組織能力の向上があってこそ環境の変化に対応した最適な経営戦略がとれるとしています。

自分たちの経営資源を無視した戦略は、机上の空論になってしまうことがあるということです。もう少し掘り下げてみると、自分たちの足元をしっかり見極め自分たちの器をしっかりと推し量るだけでなく、経営資源の一つである社員のモチベーションや主体性等を引き出すことが重要であるということです。

ドラッカーを疑って自分の考えを整理する

①組織は戦略に従う

②戦略は組織に従う

どちらが先かという議論や考えではなく、どちらにもメリット・デメリットがあります。

①組織は戦略に従う
メリット
・適材適所の配置によって目的を達成するために自分は何をすべきかが明確
デメリット
・戦略によって組織形態の変更を求められる
②戦略は組織に従う
メリット
・目的達成のために人材育成が重要であることが明確になる
・主体性を大事にする姿勢が現代の働き方にマッチしている
デメリット
・目的達成までに時間がかかることがある

というのが自分の考えのまとめでしょうか。

個人的にはその場しのぎの感が強い①よりも社員の主体性を大事にする②戦略は組織に従うの方が好きです。

多少時間がかかっても心にゆとりがある環境の方が私としては働きたい環境だからです。

ドラッカーさんが生き抜いた時代と今の時代は異なるものです。ドラッカーさんや多くの経営学者の考え方で現在でも活かせるものは積極的に取り入れ、現在とはマッチしない考えは自分の頭をブラッシュアップさせて変化させていくことが重要ですね。

当然、数年後このブログの考えも変化していることでしょう。

10年後の自分へ。今どのような考えですか?