職務によって中間管理職と呼ばれる位置づけの名称・肩書きは様々かと思います。社長と社員以外で役職名がついてある全員を「中間管理職」と位置付ける会社もあれば、副主任やサブ○○など「副」や「サブ」と呼ばれる方を「中間管理職」と位置付ける会社もあります。
位置づけや名称は会社内では重要かと思いますが、それよりも重要なことは「中間管理職の役割」ではないでしょうか。「中間管理職の役割」をはき違えたら、いつまで経っても管理職になることはありません。(会社にもよりますが・・・)
その「中間管理職の役割」とは一体何なのでしょうか。
よくある中間管理職の役割のはき違え
カウンセラーのもとに相談に来る内容で上位にくる案件としては、
「職場で上にも下にも気を配らないといけなくて辛い」
という相談事です。
たしかに職場で気を配ってばかりでは疲れるのではないかと思います。片方だけに良い顔もできずに結果的に自分で抱え込んでしまうケースが多いです。
そのような時は「ご自身が考える中間管理職の役割」を確認させていただきます。
確認していくと最も多い答えが「上と下の連結(連携)」です。
そのような時のカウンセリングの一例を以下に示します。
カウンセリングの一例
カウンセラー:今日はどのような相談ですか?
相談者:はい。実は、いま仕事が辛くて。職場では上にも下にも気を配らないといけないので辛いんです。
カウンセラー:職場で気を配ってばかりで辛いと感じられているのですね。
相談者:そうなんです。いま私は中間管理職をしていますので、上からの指示を下に伝えるのですが、そのまま伝えてしまうと反感が多くて。かといって、上からの指示を実行しないとうるさく言われてしまうので。
カウンセラー:ご自身の中間管理職としての立ち振る舞いに悩まれているのですね。
相談者:はい。中間管理職って挟まれてますから。
カウンセラー:○○さんが考えている中間管理職の役割を教えていただいても宜しいですか。
相談者:えっ?中間管理職の役割ですか。まぁ、いろいろあるかと思いますが、一言で言うと「上と下の連結」ですかね。
カウンセラー:なるほど。「連結」が重要な役割だと感じられているのですね。
相談者:はい。連結しないと職場がバラバラになるじゃないですか。だからその役割を私が。
カウンセラー:たしかにバラバラだと良い職場とは言えませんよね。
相談者:はい。良い職場にしたいと思って、自分の役割を全うしようとしてるのですが、なんか上手くいかなくて。
カウンセラー:良い職場というのは具体的にどういう職場だとお考えですか。
相談者:やっぱり良い職場は、社長の意向とスタッフの意向が合致して、みんなで一つの目標に向かって進んでいる職場だと思います。
カウンセラー:なるほど。そのような職場だと良い雰囲気で仕事が進んでいそうですよね。
相談者:はい。社長の意向をスタッフが周知できれば良いですね。
カウンセラー:そうですよね。社長の意向は大事ですからね。
相談者:はい。社長の意向があっての会社ですから。「みんなでやろう」と社長がスタッフに対して良い言葉掛けができたら、みんなの意欲は高まりますね。
カウンセラー:そうですよね。やはり意向というのは、その方の熱意や思いが伝わる形が最高だと思いますので、社長の良い言葉掛けがあれば伝わりますよね。
相談者:はい。私の職場の社長は、最近ちょっと忙しいですが、現場からずっと一緒にやってきた方ですので、現場のみんなも社長を尊敬している部分がありますから。
カウンセラー:あー、そうなんですね。良い社長さんなんですね。では、今日の相談内容なのですが、上司の指示をスタッフに伝える連結の部分で悩まれていましたよね。
相談者:あっ、はい。
カウンセラー:○○さんは良い職場を作りたいと自分の役割を真剣に考えられておられる。
相談者:あのー。
カウンセラー:はい?
相談者:いまお話しさせていただいていて自分で気づいたのですが・・・。
カウンセラー:はい。どうぞおっしゃられてください。
相談者:私、自分の中間管理職の役割を「連結」と言いましたが、上司から部下への一方通行でしか考えていませんでした。上司の代弁者として自分がいるものだとばかり。大事なのはスタッフがどのように感じているのかを上司に伝え、案件によっては上司の言葉で伝えていただいた方が良いものもあるのに。自分が伝えなければ、としか頭の中にはなかったです。社長は素晴らしい人なので、伝えるのが難渋しそうな案件は社長の言葉で伝えていただいた方が伝わるのではないかと思います。
カウンセラー:自分が思っていた中間管理職の役割に縛られていたと思われたのですね。
相談者:はい。その思いの縛りが強くて、自分自身で首を絞めていたような気がします。なんか解決できそうな気がしました。ありがとうございます。
連絡・相談・報告は双方向
先の事例でも取り挙げましたが
決定事項は上司から部下へ
報告・連絡・相談は部下から上司へ
という風に一方通行で考えている方が多いように思います。一方通行は言葉だけでなく思いも一方通行になりがちです。
中間管理職の役割をハッキリ申し上げます。
職場の交通整理をすることです。
一方通行になっていたらその旨を上司に報告し、双方向性に軌道修正する。トップの人は交通状況をハッキリとは見えないものです。中間管理職の方が現場でのトップの眼となり交通整理をしていくことが中間管理職の役割かと思います。
連結をいかにしないかを考える
さらに中間管理職の役割を挙げると「連結をいかにしないか」かと思います。
あれ?
中間管理職の役割は「連結」ではないの?と思われる方も多いでしょう。実際に相談に来られる中間管理職の方はほぼ全員と言っていいほどそう思っています。
しかしよく考えてみてください。良い職場とは、もしくは成熟した職場とは「共通の認識がある職場」と言い換えることが出来ます。常に連結が必要だと思っていたら本当の意味での組織の成熟は図れません。真の組織の成熟を目指すのであれば
「連結をしようと自分が努力しなくても自然と連結できている状態にするか」
が重要となります。つまり、連結をいかにしないかを目指すのです。
「自分が何とかしなくては」は自分で仕事の辛さを生み出していると言っても過言ではありません。自分が居なくても成り立つ連結。サブ○○や副主任等の立場でそのような最終的なゴールを考えている方は、管理者に必要なコンセプチュアルスキルを身に着けている方です。いずれ中間管理職ではなく管理職になることでしょう。