現在も終息を見せない新型コロナウイルス感染症。様々な病院でクラスターが発生しています。回復期リハビリテーション病棟はどのような影響を受けるのでしょうか?
病床利用率の低下は死活問題!
回リハは耐え忍ぶ2020年になりそうです。
脳血管疾患患者の割合は増加?減少?
回リハ機関誌に脳血管疾患患者割合の推移が記載されていました。
回リハ病床数と脳血管障害患者割合の年次推移
2001年 約5床/人口10万人当たり
2019年 約68床/人口10万人当たり
病床は増加しています。
脳血管疾患患者の割合はどうでしょうか?
2001年 約71%
2019年 約45%
増えた病床に分散される形で脳血管疾患患者割合は下がり続けています。
最も脳血管疾患患者の割合が下がった年は
2005年 約65%
2006年 約55%
の10%ダウンの年です。
2006年の診療報酬改定で脳血管疾患患者が回リハ対象として入院できる条件が発症からの期間3ヶ月⇒2か月に厳しくなった年です。
回リハでの脳血管疾患患者の必要病床数は?
回リハ病床数の増加と脳血管疾患患者の割合低下。反比例の関係にある両者ですが、では一体回リハでの脳血管疾患患者の必要数は何床程度なのでしょうか?以下に算出してみます。
疫学的に人口10万人当たり年間200人の脳卒中発症とされています。そのうち半数の100人が回リハ入院と仮定。(フェルミ推定)1人当たり約90日(3ヶ月)の回リハ入院。1年(12ヶ月)で計算すると1床当たり4回転できる。人口10万人当たり回リハに入院する100人を4回転で計算すると25床あれば良いと考えられる。したがって人口10万人当たり25床が回リハでの脳血管疾患患者のターゲット病床数となる。
2020診療報酬改定は脳血管疾患患者の割合に影響するのか?
ご周知のとおり2020診療報酬改定で発症からの期間が廃止となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響で回リハの病床稼働率も大きく下がりそうです。したがって、2020年の単年では脳血管疾患患者の割合の変化は読み取れなさそうですね。回リハ病棟協会の実態調査資料は以下の図です。
回リハの病床利用率を考える
2019年までの病床利用率は以下の通りです。
診療報酬改定年度は利用率が下がる傾向にあるようです。少なからず改定の年は病床利用率に影響するということが明らかな数値となっています。改定のたびに皆様大変苦労されているのが痛いほど分かります。改定年度のたびに病床利用率は下がっていますが、中でも2016年・2018年の下げ幅は下の図の通り角度が急降下しています。
2016年 実績指数導入
2018年 実績指数修正
実績指数が導入・修正されたことで、在院日数の短縮化を余儀なくされた病院があることが示唆されます。2020年は実績指数が40となりました。回リハへの入院までの日数が撤廃されたことで病床利用率が上がるのか?実績指数が40に修正されたことで、2016年・2018年の過去と同様に病床利用率は下がるのか?
答えは明確です。
下がります!
答えは新型コロナウイルス感染症の影響です。
どのくらい下がるのかは分かりかねますが、もしかしたら一気に病床利用率80%まで下がるのではないでしょうか?知り合いの回リハで勤務している方々からの情報であれば80%台前半という現状らしいです。
その②では回リハ協会の機関誌をさらに読み進めていきます。
病床利用率の低下に負けるな!
頑張れ!回リハ病棟!